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 「そのまんま東当選」で思ったこと 

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そのまんま東氏にはもちろん面識はないが、彼の知事就任には納得している。
選挙中、宮崎の人はかなり慌てていたようで、友人の中には、東氏が万が一当選したら、福岡へ引っ越しするしかないと本気で言うものまでいた。
そういう友人たちは今、どうしているのかな、と意地悪くも思うが、
私が東氏を期待したのは、別にいい加減な気持ちからではない。
彼のマニフェストを読んだからである。


私たちはこの4年間、いろいろなマニフェストを評価してきた。
マニフェストは、導入の頃は数値目標が書かれればそれだけでマニフェストと言われてきた。
しかし、実はそうではないと、最も厳しい評価をし続けたのが言論NPOである。

私はいつもこう言っていた。
「いいマニフェストと悪いマニフェストの違いは
地域の課題を抽出し、その答えを出すための手順が描かれていること、
さらに政策目標がその上位にある理念や思いと整合性があり、妥当性があること。」

つまり、簡単にいえば、
全国どこででも通用するマニフェストでは意味がないし、
何を何のためにしたいのか、その理念やビジョン(思い)が提起されないと、
メッセージは有権者に伝わらない。

この東氏のマニフェストを見て、妙に納得したというか驚いたのは、
「宮崎の危機をなんとか解決したい」と孤軍で走り回る強い思いと、それをどう解決するのかについて、素人とは思えないほど課題の整理がなされていたことだ。
具体的な政策では曖昧なところはあるにしても、
これを、"宮崎が直面している問題から外れたものだ"という県職員は一人もいないだろう。

もちろん、東氏のことを直接知っているわけではないため、褒めすぎている可能性はある。が、
何か、ここに今、私たちが取り組んでいる、現在の安倍政権の評価で見られた多くの人の不満の元があるのではないかと、ふと思った。

安倍政権の100日のアンケートでは350人に意見をいただいたが、ほとんどの人は、「首相のメッセージ力が劣っており、何を目指しているのか分からない」と回答している。
それがなぜなのか、この間、考えていたが、何か分かるような気もする。

昨夜、選挙報道を見ながら小泉前首相の秘書官の飯島勲氏が書いた「小泉官邸秘録」を読んでいた。その中にこんな文章があった。
少しまとめるとこんな内容だ。
「総理大臣になるというのは、それ自体が目的ではない。何か実現したい理想、この国や社会をこうしたいという目標があるはずで、その自分の理想を実現するために指導者への道を目指すのではないか。」

そして、飯島氏は、改革を進めるためには「明快な目標設定」と「明確なリーダーシップ」が必要で、小泉前首相には、「それを実現する明確なリーダーシップ、果断な意思決定、揺るがない意思」があるとまで言い切っているのである。

その評価は別にして、さて、安倍首相の場合は、どうだろう。

東氏の発言が「真意」か、本当に公約を実現する「明確なリーダーシップ」があるのかは、これから見ていくしかない。

ただ、当選後、東氏がこう言っているのを見て、羨ましく思うほど納得してしまった。
「私は宮崎で骨をうずめます。もう離れません。私は宮崎県を愛しちょります」
そこには地元の再生に揺るがない意思が確かに感じられる。
これでは、どんなに政党が集まっても、官僚出身の落下傘候補では勝てないなと思う。

 

2007年1月22日 20:16

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この記事に[ 2件 ]のコメントがあります

東国原氏は、少々右翼的・煽動的な部分もありますが、所謂本職の政治家と呼ばれる人たちに比べて非常に真摯であり「ひょっとすると、、、かもしれない」という期待感を感じさせます。
この感覚は青島都知事・横山ノック府知事や田中長野知事の誕生の時に比べて浮ついていないという意味では勝っていると感じます。
奥さんを離別させなければならぬ程に宮崎のことを考えている、と言い過ぎるとかなり軽い印象になりますが、強い期待をもって見守っていきたいと思います。
言論NPOでも活動を追いかけると同時に評価を続けて下さい。

投稿者 海老原 : 2007年1月28日 23:00

私は東氏のマニフェストを見ていないので、そこら辺はわかりませんが、別の視点から冷ややかに見ております。
と言うのも、所詮タレント人気を利用できたから当選できたのではないかというニシカルな感想です。
東氏は、確かに夜学か何かに通って真剣に勉強していたようですし、マニフェストもしっかりした内容のあるものだったのかも知れません。
だから、東氏は例外かも知れませんが、国会などを見てもタレント議員が多すぎる気がします。
その中には、あまりにも無責任に任期途中で職を放り出した者も散見されます。
こうした国民の負託を平気でないがしろにするような人間が、TVなどで政治について声高に批判するのを見ると不快感を禁じ得ません。
また、こうしたタレント候補に安直に立候補をお願いした政党や、囃したメディアにも不信感を覚えます。
政治のワイドショー化、商業主義化には危機感を覚えております。
政治改革は、狭く政党改革や制度改革に留まらず、政治を取り巻く環境(メディア、国民の民度等)そのものから改革する必要があると思います。

投稿者 山田 : 2007年11月 8日 19:25

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