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「言論NPO」 2003 vol.2 「変貌するアジア 問われる日本の戦略」

「言論NPO」 2003 vol.2 「変貌するアジア 問われる日本の戦略」

発行元:言論NPO

価格:¥ 1600 (税込)


目次

巻頭言「新開国宣言―真に開かれた国づくりを目指して―」
言論NPO代表 工藤泰志

「なぜアジア戦略の創新が必要なのか」
福川伸次(電通顧問/アジア戦略会議座長)

特別対談「開かれた日本づくりをどう進めるか 」
小林陽太郎(富士ゼロックス代表取締役会長/言論NPOアドバイザリーボード)/山崎正和(劇作家/評論家/言論NPOアドバイザリーボード)/福川伸次(電通顧問/アジア戦略会議座長)

論文「日本の対アジア戦略をどう構築すべきか」
横山禎徳(社会システムデザイナー)

座談会「イラクの戦争が日本に問いかけたものは何か」
塩崎恭久(衆議院議員)/武見敬三(参議院議員)/林芳正(参議院議員)

論文「適応か停滞か―日本のジレンマ」
T. J.ペンペル(カリフォルニア大学バークレー校教授)

座談会「アジアに門戸を開放せよ―中国人が見た日本」
厳浩(イーピーエス代表取締役社長)/周牧之(東京経済大学経済学部助教授)/劉迪(早稲田大学国際地域経済研究所客員講師)

言論NPOアジア戦略会議シンポジウム・セッション1

「向き合うまでもない、アジアはもう結ばれている」
谷口智彦(『日経ビジネス』主任編集委員)

「日本の新しい開国に向けて」
榊原英資(慶應義塾大学教授)

「まず日本人自らの改革から始めよう」
安斎隆(アイワイバンク銀行社長)

「日本は既に大きな変革の真っ只中にいる」
ドナルド・P・ケナック(AIGカンパニーズ日本・韓国地域社長兼CEO)

「日本や日本人に問われる世界で生きる覚悟」
柳井正(ファーストリテイリング代表取締役会長兼CEO)

「アジアの変化に日本はどう向かい合うべきか」
安斎隆(アイワイバンク銀行社長)/ドナルド・P・ケナック(AIGカンパニーズ日本・韓国地域社長兼CEO)/榊原英資(慶應義塾大学教授)/柳井正(ファーストリテイリング代表取締役会長兼CEO)/イェスパー・コール(メリルリンチ日本証券チーフエコノミスト)/加藤隆俊(東京三菱銀行顧問)/周牧之(東京経済大学経済学部助教授)/谷口智彦(『日経ビジネス』主任編集委員)

「アジア問題に関するアンケート」結果報告

「アジア問題に関するアンケート」解説 「アジアの安全保障を再構築する」
鶴岡公二(政策研究大学院大学教授)

言論NPOアジア戦略会議シンポジウム・セッション2

「開放を通じて日本の再生を図る」
国分良成(慶應義塾大学法学部教授)

「グローバル企業から選ばれる日本社会をつくれるか」
堺屋太一(作家/エコノミスト)

「日本を中心とした、東アジアの新しいコミュニティをつくれ」
ノルディン・ソピー(マレーシア戦略国際研究所(ISIS)所長)

「体制改革と対外開放のためのプランを構築せよ」
杜平(中国国家計委国土開発与地区経済研究所長)

「構造改革は意識改革から」
康奉均(韓国民主党国会議員/元財政経済部長官)

「日本とアジアの関係をどう構築すべきか」
堺屋太一(作家/エコノミスト)/康奉均(韓国民主党国会議員)/ノルディン・ソピー(マレーシア戦略国際研究所所長)/杜平(中国国家計委国土開発与地区経済研究所長)/深川由起子(東京大学大学院教授)/谷口智彦(『日経ビジネス』主任編集委員)/イェスパー・コール(メリルリンチ日本証券チーフエコノミスト)/国分良成(慶應義塾大学教授)

言論NPOシンポジウム「NPOが日本社会を変える」

シンポジウム1「自立型社会への転換とNPO」
北川正恭(前三重県知事/言論NPOアドバイザリーボード)/松井道夫(松井証券代表取締役社長/言論NPO理事)

シンポジウム2「新しいNPOの可能性」
穂坂邦夫(埼玉県志木市長)/井上英之(ETIC.ソー シャル・ベンチャーセンター)/筑紫みずえ(グッドバンカー代表取締役社長)/瀬口清之(NPO法人RFL理事)/後房雄(名古屋大学大学院法学研究科教授)

巻頭言より

新開国宣言―真に開かれた国づくりを目指して―

世界では今、経済や安全保障の枠組みから市民生活のレベルまで、パラダイムシフトとも言えるダイナミックな変革が起こっている。アメリカの「大義」の下に始められたイラク戦争も、これまでの世界構造の「与件」を大きく変える始まりになろうとしている。こうした世界の変化の中で、日本はむしろ停滞と孤立を深め、国内でも新たな挑戦に向けた改革が遅々として進まず、将来や世界を見据えた大きな議論やそれに向けての建設的な議論がなされていない。全体的な政策の顔が見えないことは、日本の国際的な地位の低下を招いている。私たちが危惧するのは、日本が何ら戦略も持たずに衰退への道を余儀なくされているのではないかということである。

この1年間、言論NPOでは「アジア戦略会議」(座長・福川伸次電通顧問)の中で、アジアの変化に目を向けながら、さまざまな議論を行ってきた。今やアジアの求心力は、経済的チャンスの場を周辺国や欧米資本に提供しながら著しい成長を遂げる中国に移りつつあり、アジアの中での日本の存在感はますます低下しつつあるからだ。しかもイラク戦争後の先には隣国である朝鮮半島の問題があり、日本の立場は早晩、問われようとしている。私たちの問題意識は、中国を中心舞台にダイナミックな経済変化が進むアジアに日本はどのように向かい合うべきか、更に将来、日本は現在のアメリカと将来の中国という2つの超大国に囲まれた地政学的な位置の中でどのような国家路線を持ち得るのか、である。私たちはアジアの論議を始めるにあたって、まず大きな視野での議論を投げかけようと考えたのである。

アジア戦略会議での議論をもとに、私たちは3月7日にシンポジウムを開催した。今号の「アジアの変貌 問われる日本の戦略」はそこでの議論に大半を割いている。そのとき提起したのが、「新開国宣言―真に開かれた国づくりを目指して」という提案である。アジアの活力を自らのものにし、新しい日本の将来を築くためにも、日本自身の自己改革と真の国際化が問われているというのが、私たちの共通認識だった。自ら国を開くという意思と行動は従来のシステムを壊し、日本が新しい国づくりを進める起爆剤になるだけでなく、変貌をとげるアジアの中で新しい日本の役割を再構築できると考えた。それほどこの国の国境の壁は厚く、さまざまな交流を阻害している。言論NPOは、日本が自らの活路を切り拓くため、これまでにさまざまな議論を行ってきた。その点で言えば、アジアに関する議論は日本が必要としている議論のひとつの軸を提示しているに過ぎない。もうひとつの軸は将来への時間軸である。そうした二軸からの現状の改革論を再構築する作業を行っていきたい。

言論NPO代表 工藤泰志


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