by Google 運営者 お問い合わせ
トップ > 言論NPOが発行する書籍  >  北京-東京フォーラム報告書

第6回 東京-北京フォーラム 2010年 東京

第6回 東京-北京フォーラム 2010年 東京

主な参加者:明石康、安斎隆、石破茂、国分良成、小林陽太郎、仙谷由人、長島昭久、福田康夫、増田寛也、松本健一、溝口善兵衛、三村明夫、宮本雄二、武藤敏郎、山口廣秀、山田啓二、白岩松、陳昊蘇、陳健、程永華、黄星原、李肇星、蘇寧、孫尭、王晨、呉建民、趙啓正、朱霊ほか

発行/発売元:認定特定非営利活動法人 言論NPO

定価:¥ 2,160 (税込)

サイズ:A4判 (212頁)

 ご注文はこちら 



 尖閣諸島問題を契機とする日中関係の急激な変化は、日中両国民間の相互理解がいまだ十分に進まず、両国関係の基盤がいまだ脆弱な状態にあるという現実を浮き彫りにしました。同問題が表面化する直前の2010年8月末に開催された「第6回東京-北京フォーラム」で、両国のパネリスト、そして両国民間で何が語られたのか。真の相互理解を目指すこのフォーラムにおける、"本音"の議論を全て公開します。

内容

 第六回目の「東京-北京フォーラム」は、2010年8月29日から3日間、東京を舞台に開催され、参加者は両国の有識者を中心にこれまでの規模を大きく上回る延べ2500人にもなりました。でも、その閉幕直後の9月、尖閣列島問題をきっかけに中国では再び反日デモが地域に広がり、日本でも嫌中的な世論がかつてないほどに高まっています。私たちはこの5年間、政府関係が悪化してもそれを補完できる国民間の相互理解を作り出すことを目的に様々な議論を行ってきました。だが、その目標はまだ道半ばであることを思い知らされました。こうした動きの背景には様々な解説がなされています。

 しかし、より重要な問題は国民レベルの相互理解が依然ぜい弱な状態に、現在の日中関係がある、ということです。「東京‐北京フォーラム」は10年間継続することで両国の主催者は合意しています。今回の第六回目のフォーラムは、議論の「本気さ」、「公開性」など、これまでにないほど内容が濃いものでした。しかし、私たちは初心に戻らねばと覚悟を新たにしています。これから両国関係は様々な困難に直面するでしょう。しかし、国民の相互理解に支えられない限り、新しい両国関係は作り出せないのです。私たちはそれを議論の力で成し遂げたいと思っています。  ―巻頭言より


 東京-北京フォーラムでは、5つの分科会に分かれ、各テーマごとに議論が行われました。尖閣諸島問題を契機として日中関係が新たな展開を見せる直前に、両国の識者、若者たちが何を考え、何を語ったのか。そして、従来のフォーラムと比較して、今回のフォーラムはどんな点に注目すべきなのか。分科会に出席した司会者、パネリストの声をご紹介します。

 (「分科会報告」における発言を一部抜粋)


松本健一氏松本健一氏(麗澤大学経済学部教授)

【政治対話】
この「東京-北京フォーラム」が開催された当初は、日中関係の修復がメインテーマでしたが、5回目くらいから、特に今回は、日中が協力してアジアの未来をどう切り開いていくのか、すなわち、日中関係だけではなく、日中が協力してアジアの関係を、アジアの未来像をどう築いていくのかということが問われている、そういう段階に入っているという認識が共有されてきた。


小島明氏小島明氏(日本経済研究センター研究顧問)

【経済対話】
アジア地域で市場機能を適切に活用し、資源配分のゆがみを是正していくという点や、金融面でのリスクに対する適切なプライシング、市場による調整機能の向上、あるいは高齢化に備えた福祉政策など社会政策の充実の必要性など、基本的に一致した認識がかなりあった。対立やすれ違いということよりも、かなり収斂した方向で協力の可能性を積極的に模索しようという姿勢が垣間見え、これまでのフォーラムとの違いを実感できた。


山田孝男氏山田孝男氏(毎日新聞社政治部専門編集委員)

【メディア対話】
相手国を知るのに、自国のメディアに頼っている人が圧倒的に多い反面、メディア自身が、お互いに相手の事情を知らないという異問題が提起され、議論になった。
  日本側:中国側では、ツイッターができますか?
  中国側:できますよ
  日本側:でも、制限があるでしょう?
  中国側:制限はありますが、軍事機密まで漏らすなんてありえないでしょう
というようなやりとりもあった。...(中略)
また、会場には、中国側交流プログラムで日本に来ておられた若いジャーナリストが多数出席され、活発に発言された。また、フロアの日本の記者から「中国ではどのような記者教育をしているのか」などの質問も出た。このメディア対話に6回参加しているが、今回は、量的にも、質的にも、飛躍的な発展があった。


山田啓二氏山田啓二氏(京都府知事)

【地方対話】
中小企業というのは、地域と非常に密着した特性を持っているので、市場経済メカニズムで補えない問題、例えば情報収集や、様々なトラブル解決策について、私たち地方が具体的なマッチングや、相談に応えるような組織を創っていく。そうすることで、こうした中小企業を支援できるのではないかということが真剣に話し合われた。そうした中で、中小企業の協力委員会を創ってはどうか、マッチング組織を創ってはどうか、という提案もなされ、日中間の具体的な問題に対する解決策が、この対話の中から生み出されるという可能性を強く感じた。


若宮啓文氏若宮啓文氏(朝日新聞社コラムニスト)

【外交・安全保障対話】
もちろん言い分は違うので、昔だったら激しく激昂して反駁するということもあったのだが、やはり少し信頼感ができている感じがした。日本の防衛は専守防衛だが、議論の方は概ね日本のほうが攻め、それに対して中国側が守るというのが基調だったような気がする。これは当然で、中国の軍事拡大が今の東アジアならびに世界の関心事であるということだ。(中略)...また、南シナ海は核心的利害であるとの指摘があった。しかし、南シナ海は紛争だから平和的に話し合いで解決する問題であり、台湾やチベットの問題とは違うのだという説明は印象的だった。




三村新日鉄会長の「国益主張」の見直しは、中国との率直な相互理解促進に友好と思います(30日全体会議)
・政治経済を中心に日中の代表的な人々が一堂に会することは大変良いことだと思います。ただ変化を起こすには政府や経済界の相互理解の面から考えていかないと中国に出し抜かれると思います(30日全体会議)

・中国の軍事的透明性の不十分さについて、また、中国の台頭に伴う対米関係、周辺国の配慮についてなど、日本側の率直な問題提起が印象的(外交・安全保障)
・相互が相手にいだいている疑念を率直にぶつけつつ、それを受け止めつつ交わすという大変知的刺激の多い討論だったと考えます(外交・安全保障)
・中国の軍事力の拡張について、中国側の本心を見せないレトリックの活用が印象的でした(外交・安全保障)
・こうしたフォーラムが成立する基盤は「率直さ」と「議論の透明性」だと思います。本フォーラムは、少なくとも前者の確保はなされており、その点では有意義。こうした機会は、やはり積み重ねることが大変重要だと存じます(外交・安全保障)

具体的なビジネスの討論なので、少なくとも来場者は分かりやすかったと思う。お互いに言いたいことを言い合って良かったのではないか。本音が出ていたように思う(経済)
・初めて参加したが、レベルの高い質も高い内容でよかった。民間の意見を大事にしてください(経済)

・日中両国の地域の取組についてよく理解でき、ビジネスについて大変参考になりました(地方)

・宮本前中国大使の基調講演は大変印象に残った。なぜ「ひとつの中国」でなければならないのかということをもっと知的に掘り下げる。中国の軍事増大につき、知的に解決するための説明責任が中国にはあるというご発言に感銘を受けました(31日全体会議)


ご注文方法 (言論NPO直販)

言論NPOの日中関連書籍をあわせてご購読下さい。

【 日中関連ブックレット 】 (A5判)


日中対話
定価800円


以下から注文書をダウンロードし、必要事項をご記入の上、言論NPO事務局までお送りください。

 書籍注文書をダウンロード

言論NPO事務局
 【 FAX 】 03-3548-0512
 【メール】 info@genron-npo.net
※メールでご注文の際は、①お名前(必須)、②ご住所(必須)、③電話(必須)/FAX番号、④メールアドレス、⑤ご勤務先(所属/役職)、⑥ご注文内容、⑦この出版物の情報をどこでお知りになったのか(書店・ウェブ・メールマガジン等)、⑧銀行振込、郵便振替、クレジットカードの3つの中から支払い方法をご記入の上、言論NPO事務局までお送りください。

※手数料負担分について一部割引等をさせていただく場合もございますので、言論NPO事務局よりご連絡いたします。必ずE-mailアドレスをご記入ください。


◆ご注文・お問い合わせ

住所:〒103-0027 東京都中央区日本橋 1-20-7
言論NPO事務局(午前9時半~午後5時半迄)
担当:宮浦
Tel:03(3548)0511/ Fax:03(3548)0512
Email:info@genron-npo.net



書評

みなさんの書評を募集しています!




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)

(戴いた書評は担当者が選択し掲載させていただきます。)