安倍政権2年実績評価【憲法改正】評価結果
昨年:2点
評価の視点
・憲法改正の目的を政権として国民に示したか
・憲法改正に向けた手続きを国民に説明したか
・具体的に政策は進んでいるのか
自民党は2012年4月27日に、憲法改正原案を発表した。2012年の衆議院選挙時のマニフェストに、「『憲法改正原案』の国会提出と憲法改正を目指し、国民の理解を得つつ、積極的に取り組む」と盛り込んだ。改正案の内容としては、日本がどのような国を目指すのか、国際社会の中で何をやる国(あるいは何をやらない国)になるのか、政党としての考え方を明示しており、憲法改正によって目指す将来の国家像を描いている。
衆院選後、安倍首相は2013年1月の国会で、国民投票が成立したことを踏まえ、次に96条先行改正について推進する方向性を示していた。しかし、党内でも慎重論が出てきており、2013年7月の参院選の際には、公約に96条先行改正を盛り込まないことになるなど、憲法改正への姿勢はトーンダウンした。また、連立を組む公明党が憲法改正に慎重な姿勢を崩していない。
そうした中、自民党、公明党両党が憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案について、法施行後4年間は憲法改正の国民投票の投票権年齢を「20歳以上」とし、その後は「18歳以上」とすることで合意した。また、自民党は延期していた党憲法改正草案に関する全国対話集会の開催を始めるなど、国民に対する議論を積極的に始めたが、政権としての動きにはなっていない。
評価の視点として、これまで安倍政権が憲法改正について、その目的をしっかりと示したか、また、改正に向けた手続きを国民に説明しているか、それらの取り組みについて進捗はどうなっているか、といった観点から評価した。
【憲法改正】個別項目の評価結果
2点(5点満点)
昨年:2点
96条の先行改正
憲法改正案の発議に関しては、2012年12月18日に、安倍晋三総裁は記者会見において2007年5月14日に成立した国民投票法を踏まえ、次に取り組むべき課題として、憲法改正発議の要件を定めた憲法第96条の緩和を挙げた。また、安倍晋三首相は2013年1月30日の衆院本会議で「まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」とも述べている。
96条改正には、先ず衆参各院で総議員の3分の2以上の賛成を得て国会が国民に発議することが必要であり、さらに、国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。改正に肯定的である自民党、日本維新の会、みんなの党を合わせると、衆院では3分の2を超えるが、参院では自民党、日本維新の会、みんなの党に加え、新党改革などを含めても144議席であり、3分の2(162議席)には達していない。公明党が加われば3分の2は超えるが、公明党は、現行の硬性憲法としての性質を維持すべきとの立場で、憲法改正の内容と切り離して96条を先行改正することにも反対しており、改憲派とは大きな隔たりがある。
その結果、憲法改正原案の国会提出と憲法改正の実現はかなり難しい状況となっている。
改正国民投票法
2007年5月14日に成立した国民投票法に関しては、その施行までにとられる立法措置が行われなかったため、投票権年齢が確定していない問題などがあった。これに対して、2014年6月に「改正国民投票法」が可決され、改正法施行4年後から投票権年齢を満18歳以上とすることが決まった。この結果、憲法改正のための国民投票実施に必要な手続きが整った。
憲法対話集会
国民の理解を得る取り組みについては、自民党が2014年4月より「憲法対話集会」や「研修会」を開催しており、約2年をかけて全国で開催していく予定である。憲法改正の国民的機運を盛り上げていくことを狙いとしている。11月15日現在で、全国16か所で会を開催している。しかしながら、政権として動きにはなっていない。
評価
以上のように、改正国民投票が成立し、憲法改正のために必要な手続きは整ったが、96条の先行改正については、公明党との隔たりもあり、実現は難しい状況になっている。また、自民党では「憲法対話集会」を開くなど、憲法改正に向けた国民に対する説明、議論を開始したが、安倍政権としての動きにはなっていない。
各分野の点数一覧
評価基準について
実績評価は以下の基準で行いました。
・未着手、断念
・着手して動いたが、目標達成は困難な状況になっている
※理由を国民へ説明していなければ1点減点としました。
【旧管理ID: 8091】