「議論の力」で強い民主主義をつくり出す
2010 / 05 / 27
[ 総論 ]
子育て : 22点 /100点 |
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実 績
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実行過程
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説明責任
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15点 /40
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5点 /30
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2点 /30
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「子ども1人ひとりの育ちを社会全体で支える」ために実施するとされた子ども手当は、10年度の半額支給については公約通り実現し評価できる。だが、その財源は、全額国庫負担ではなく、児童手当を廃止し、地方や企業に負担させることで決着している。こうした配分方法は、マニフェストに明記されたわけではなく、地方との対立も表面化した。一方、菅新政権の下での次期マニフェストでは来年度以降の満額支給の実現の見直しが書かれており、全額支給は事実上修正されたと判断するしかない。しかしより実質的な問題は、そもそも子ども手当をはじめとする子育て政策全体の目的が不明確であること。「子ども・子育てビジョン」では「少子化対策」からの転換が表面的には図られ、「社会全体で子育てを支える」という方針が提示されたが、では子育ての社会化はなぜ必要かの政策の組み立てが鮮明でなく、「少子化対策担当大臣」というポストが残っている以上、「少子化対策」を上位目的に置いた子育て政策は実質的に継続していると言える。一連の子育て政策を「少子化対策」として見た場合、少子化対策としてあまり効果がないといわれる現金支給に偏っており、十分であるとは言えない。他方で、より重要であるとされる保育サービスやワークライフバランスに関する制度設計の議論は、4月の「子ども・子育て新システム会議」で開始されたばかりで、子ども手当などと連動した政策の体系化が実現していない。さらに、子ども手当をはじめとする子育て政策全般に必要な恒常的な財源額が政府として提起されたり確保に向けて意思決定されたわけではない。子ども手当の財源は半額でも防衛予算を上まわる規模である半面、当初から毎年の無駄削減に依存しており、安定的な制度として国民に提起されたわけでもない。世間では話題にはなったが、恒常的な財源に基づかない不安定な制度であり、これが少子化対策として十分な成果を期待できるとは考えにくい。
子ども手当の創設は、三党連立合意、所信表明というプロセスを経て政府の約束へと発展し、早い段階から実行に向けての着手があったことは評価できる。この9カ月はなんとか子ども手当を実施することに大半のエネルギーが投入され、党の重点要望で提起された所得制限も首相の判断で所得制限を設けないことに落ち着くなど、結論に至るまでに首相の指導力は一応発揮された。だが、この手当の目的が議論を呼ぶ中でもそれを整理して政策体系として整えたり、安定的な財源に基づく制度に格上げするような十分な努力は見られず、最終的に修正に追い込まれた。
子ども手当の満額支給は財源の確保が難しいことなどで修正されることとなったが、なぜ修正するのか、なぜ恒久的な財源を提起できないのか、この半額規模はいつまで続けるのか、そもそもこの手当の目的はなんだったのか。納得できる説明が現時点では行われていない。また、民主党政権は「子ども・子育てビジョン」において指摘される通り『「少子化対策」から「子ども・子育て支援」へ』として従来の政策体系からの転換を謳っている。ただ、これまで行われてきた政策についての総括や新たな政策体系で何が変わるのかといった点、あるいは少子化による人口減少という課題に対して、政権としてどう考え、その課題にどう取り組むのか、明示的に説明がなされた経緯はない。
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