3月11日午後、「東京会議2026」の公開フォーラムが始まり、まず言論NPO代表の工藤泰志が開会挨拶に登壇。工藤はその中で、現在の世界情勢について「単に不安定な時代ではなく、国際秩序の前提そのものが変わりつつある転換点に立っている」と指摘しつつ、冷戦終結後、国際社会は「ルールに基づく秩序」や多国間協調を基本としてきたが、近年は大国による軍事行動や経済圧力など「力の行動」が広がり、これまでの前提が揺らいでいるとの認識を示した。
続いて、世界13の主要シンクタンクと協力し、26カ国293人の研究者・専門家を対象とした「国際秩序と大国関係に関する専門家調査」から、多くの専門家が「大国による力の秩序」が一時的ではなく、新たな常態となる可能性が高いと認識していることが明らかになったことを解説。
一方で、米国と中国による安定した二極体制が形成されるとの見方は強くなく、むしろ複数の勢力圏が交錯する「不安定な多極世界」が到来するとの見方が広がっていることを説明した。また、国連や国際機関、国際ルールは依然存在するものの、政治的意思がなければ機能しない「秩序の空洞化」が進んでいるとの分析も示した。
こうした状況の中で、専門家の約7割は、従来型の包括的な多国間協調の復活ではなく、分野や地域ごとに連携する「限定協調」が現実的な選択肢になると回答。EU、日本などのミドルパワーの連携に期待が寄せられているとの見方を示した。
その上で工藤は、今回の会議ではアジアの役割にも焦点が当てられていることを説明。「人口、経済、技術、地政学の観点から見ても、アジアはすでに世界の中心の一つになっている」と述べ、アジアの選択が世界の安定に大きな影響を与える段階に入ったとの認識を示した。
その一環として、新たに岸田文雄元首相とインドネシアのスシロ・バンバン・ヨドヨノ元大統領が共同議長を務める「アジア円卓会議」を設立し、前日にアジア各国のリーダーが参加し約3時間にわたる議論を行ったことを紹介。大国の力が前面に出る世界の中で、アジアが何を守り、何を受け入れるのかについて率直な意見交換が行われたと議論の様子を振り返った。
工藤は最後に「沈黙すれば世界のルールは力だけによって決まっていく。しかし対話と協調を再設計する努力を続ければ、未来はまだ変えられる」と強調。「東京会議は世界の未来に責任を持とうとする人々が集まる場だ」と述べ、国際対話の重要性を訴えた。