「第11回言論NPOメンバーフォーラム/ ゲストスピーカー:塩川正十郎氏」報告

2008年1月17日


 1月17日、元衆議院議員の塩川正十郎氏をお招きし、言論NPOのメンバー(基幹会員)の集まりであるメンバーフォーラムが開催されました。

 2008年1月17日、言論NPOメンバーフォーラムが開催されました。今年初めてのフォーラムである今回は、元財務大臣の塩川正十郎氏をゲストスピーカーとして迎え、代表工藤をはじめ出席者の多くが活発に議論する場となりました。


 まず塩川氏は、現代の日本の政治の質の低下を論点に挙げました。特に、当選回数の少ない議員の比率が上がり、政治家に未経験者が増えていることが問題であり、まず政治家の養成が重要だとしつつ、例えばヨーロッパでは政党が政治資金の大きな部分を大学での勉強会などに使いながら、若いときからいろいろな経験をさせようとしていることなどを指摘しました。そして、「小選挙区制の導入以後、自民党のレジームが崩れてきた」とし、政治家として認めてもらう努力より自己アピールがより重視され、「当選することが最大の価値観になっている」現状に対して懸念を表明しました。また、当選すること自体に大変な努力を要する小選挙区よりも、中選挙区制のほうが、白黒をはっきりさせないという日本人の性格によりなじむだけでなく、有為な政治家を生むためにもより優れているのではないかとしました。

 福田政権の課題については、何よりも「首相が先頭になって、公務員改革を断行して欲しい」とし、かつての大臣として経験も交えながら、給与体系をはじめとして仕事に対するインセンティブの面での改革の必要性、あるいは士気の低下した団塊の世代と若手職員とのギャップなどを指摘しました。そして、福田首相には小泉元総理のように、「獅子奮迅の思い切ったことをやって、その責任を取るというくらいの気概を持って欲しい」とし、そうした捨て身の姿を示せば役人も変わってくると指摘しました。
 
 塩川氏の発言を受けてその後、出席者から、選挙制度や年金、税制改革、規制緩和等様々な論点についての質問がなされ、議論が行われました。大きな論点である年金について、塩川氏は、「社会的、経済的状況が制度の創設当時から大きく変わっているのに、法律が変わっていない。年金の根本理念、システムを再設計し、それをもっと明確に打ち出すべきだ」と述べました。また現在の民主党に関しては、「ビビンバ」のようなもので混ぜてしまったら何があるか分からないとしつつも、自民党で公認が取れない優れた人材が民主党に流れており、彼らは今の民主党の本流とはおよそ異なる人たちだと指摘しました。


 最後に、「政治の閉塞感を打破する方向に向かうためには何が必要なのか」という代表代表工藤の問いに対しては、「政治家が変わるしかなく、まず政治家自身が世の中や国の方向性について正確に知り、選挙区でパフォーマンスをするだけではなく、政治家同士が議論して、選挙民の本当の声を聞くべきだ」としました。

 代表工藤はフォーラムを総括して、「今年はしっかりとした議論にする年にしたい。有権者と政治が向かい合う緊張関係がなければ、民主主義は大きく発展していかない。そのためのきっかけとして、マニフェスト評価作業にもきちんと取り組んでいきたい」と、言論NPOの2008年が本格的に始動するにあたり、 意気込みを語りました。


文責:山下泰静

 1月17日、元衆議院議員の塩川正十郎氏をお招きし、言論NPOのメンバー(基幹会員)の集まりであるメンバーフォーラムが開催されました。