言論NPOの第13回メンバーフォーラムでは、安倍政権で内閣官房長官を務めた塩崎恭久氏(衆議院議員)をスピーカーにお招きし、現状のねじれ国会における問題点や政治運営のあり方、日銀総裁問題、公務員制度改革など、幅広い分野について出席者と活発な議論を交わしました。
塩崎氏はまず、現在の世界的な金融不安の中で日銀総裁人事が迷走している点、日本が環境重視の立場に立ちながらガソリン税を下げる議論をしている点などを挙げ、日本の現在の動きは世界の流れに逆行していると述べました。そして、このような動きの根本にある問題は国会のねじれ現象であるとし、政権党と議会の多数派が食い違いながらも、話し合いによって政治運営を停滞させなかった外国の事例を挙げながら、ねじれ現象によって政治運営が滞っているのは日本だけである、と指摘しました。また、日本においても98年の金融国会の際には与野党間での効果的な話し合いによる政治運営が一時期存在したことも指摘し、それを現在の教訓とするべきと述べました。
また、日銀総裁人事や道路特定財源の一般財源化問題などをめぐって民主党は、自民党を追い込んで国会を解散させることが目的となり、それが政策的な停滞を招いているとしました。さらに、少子高齢化、財政の累積債務、増税に対する不安、グローバル化など、たとえ政権交代があっても変わらずに存在する課題があり、それらの解決のためにも、民主党が掲げているような改革の逆行ではなく、改革の続行が必要だと強調しました。
塩崎氏はさらに、現在の日本の問題として、官僚支配と東京一極集中が激しいこと、非製造業の生産性が世界的に見ても低いこと、外国資本に対する規制が強すぎることなどを挙げました。そしてこれらの問題の解決のためにも、規制緩和と金融・会計に関する国際基準に則ったルールの確立を進め、今までの内向きの姿勢を改めて海外から良質なヒト・モノ・カネを受け入れなければ、いずれ日本は立ち行かなってしまうと述べました。また、国民との契約を守る政治を実現するためにも、内閣・官邸主導の政治の実現が必要であり、そのための公務員制度改革が最大の課題の一つであるとしました。この改革は、同期が同じように出世していく現行制度を大きく変え、官民の交流を促進し優秀な人材が活躍できる仕組みを作ろうというもので、官僚や一部の大臣からの反発も強いものの、日本を変えるためには絶対に実現しなければならない改革であると述べました。
その後、出席者との質疑応答のなかで、現在の日本経済の停滞状況に対する政策のあり方や、今年1年の政局の動向などについての議論が交わされました。
文責: インターン 水口智(東京大学)
言論NPOの第13回メンバーフォーラムでは、安倍政権で内閣官房長官を務めた塩崎恭久氏(衆議院議員)をスピーカーにお招きし、現状のねじれ国会における問題点や政治運営のあり方、日銀総裁問題、公務員制度改革など、幅広い分野について出席者と活発な議論を交わしました。