4月25日に開催された、言論NPOの第14回メンバーフォーラムには、衆議院議員の仙谷由人氏(元民主党政策調査会長)をゲストスピーカーとしてお招きしました。仙谷氏は、最近の国会運営のあり方や日銀総裁同意人事、道路特定財源、消費者行政といった問題について、出席者と活発な議論を交わしました。
仙谷氏はまず、参議院で野党が主導権を握ったことは日本の政治史上でもきわめて特異なことで、これまでの政策決定の手法や基準、価値観が変わることを意味しているにもかかわらず、自民党やメディアには、官僚と大臣が深く結びついた従前の政策決定過程が今後も変化しないと認識している人が多いことを指摘しました。日銀総裁人事の問題についても、バブル崩壊後の日本の財政・金融政策が失敗したことを踏まえて、これまでの財務省主導の人事から脱却すべきであるという点を特に重視して、自らの考え方を党内で主張したとしました。
また、参議院の第一党が野党である以上、55年体制での強行採決や衆議院での採決がすべてを決めることにはならない、自民党は民主党が参議院で多数であることの意味をよく考えて、旧来型の発想に基づく手法をとるべきではない、と主張しました。そして、現在の自民党、特に衆議院の執行部が、民主党が参議院で多数を占めていることを体感として感じていないことが問題であるとしました。
仙谷氏はさらに、小泉政権の改革後も各省庁から所管の公益団体などへ利権が流れていく構造は温存されており、日本の資源配分の仕組みは以前からほとんど変化していないと問題提起しました。そのうえで、21世紀の日本を展望するにあたっては資源配分の緊急性や必要性をぜひ議論しなければならないが、この問題を国民にもわかってもらうためには、メディアにも政局に偏らずに国会の議論をきちんと報道してもらう必要があり、そのためにも与野党が時間をかけて政策について議論し国民に公開するという、新しい国会運営の手法を作る必要があると述べました。
現在の日本の資源配分の問題点について、仙谷氏は道路特定財源と医療、そして消費者の問題を例にあげて説明しました。前者については、地方分権改革が中途半端になっているために、地方自治体はいまだに国土交通省に道路特定財源という資源の分配を頼る一方で、深刻化している医療問題に対して財源を確保する動きが見られないとしました。そして、これからはグローバル化の時代だからこそ、地方自治体に資源配分そのものを任せて自立を促さなければならないと述べました。消費者問題については、一人ひとりの消費者が行政からの保護や支援のないままむき出しの状態で市場に放り込まれ、それに耐えられないでいるというのが現状であり、これからは消費者の権利を救済し擁護する消費者庁のような仕組みが必要であるとの見方を示しました。
そのうえで、このような状況に政治が対応するためには、政策を軸とした政界再編まで視野に入れる必要があると述べました。
最後に仙谷氏は、明治維新を引き合いに出しながら、自民党の長期支配で政治家や官僚に染み付いている、現状維持の延長線上に改革があるという発想をやめなければ何事も始まらないと述べるとともに、直前に迫った衆議院山口2区の補欠選挙の結果で、これから半年ほどの政治の動きが見えてくるとの見方を示しました。
その後は出席者との質疑応答に移り、メディアと政治の関係、政界再編、新しい国会運営の手法や国際的な課題認識の重要性、さらには今後の政局の見通しなどについて、活発な議論が交わされました。
文責: インターン 水口智(東京大学)
4月25日に開催された、言論NPOの第14回メンバーフォーラムには、衆議院議員の仙谷由人氏(元民主党政策調査会長)をゲストスピーカーとしてお招きしました。仙谷氏は、最近の国会運営のあり方や日銀総裁同意人事、道路特定財源、消費者行政といった問題について、出席者と活発な議論を交わしました。