「第16回言論NPOメンバーフォーラム/ ゲストスピーカー:渡辺喜美氏」報告

2009年3月24日


 3月23日、今年第1回目となるメンバーフォーラム朝食会が都内にて開催されました。今回はゲストスピーカーとして元金融・行政改革担当大臣で、今年1月に自民党を離党した渡辺喜美氏をお招きして「日本の政治改革」をテーマに講演していただきました。

 渡辺氏は今の政治が機能不全に陥っていることを指摘したうえで、その理由としてまず1930年代以降続く「官僚内閣制」を挙げました。その上で、国民に直接責任を負わない官僚が強い影響力を行使することの問題点を指摘しました。また二つ目として政党中心主義を確立するため導入された小選挙区制も抜本的な改革にはならず、議員が派閥・後援会を基盤とする地方代表的な性格を帯び、さらには世襲化も進んだため固定化し、官僚に対して劣勢になったと説明しました。さらに自身が進めた公務員制度改革も骨抜きにされていることを振り返って、このような政治体制が続いている以上、今回のような危機を乗り切ることはできないとの認識を示しました。その上で渡辺氏は、「政治が非連続的転換を遂げなければならない」とも述べました。


 これに対して司会の工藤泰志(言論NPO代表)は、二大政党制が実現しつつある現在も政治が指導力を発揮できていないことは、日本の政党自体が古い体質のままで課題解決能力を失っているのではないかと指摘し、強い市民社会を作るしか政治を強いものにはできないのでは、と問題提起しました。

 これを受けて渡辺氏は日本の政治は、政界再編しかもはや方法はないことを強調したうえで、次の選挙では自らも5人の議員を集めて新党を結成する考えを表明しました。また制度的には、国会の議員定数を削減し、これにより捻出した財源を活用して政策スタッフを整備し、議員の政策立案能力を高めるという提案も合わせて行いました。フォーラム出席者から、日本の政治に自らの定数を削減する決断はできるのか、と疑問も出されましたが、渡辺氏は自民、民主両党が定数削減を公約として掲げている、二大政党が提案している約束が実現できないということの方が問題で、マニフェスト評価を行っている言論NPOが、それを厳しく評価をすべき、と応じ、さらに市民社会が強くならなければ改革は進まないという工藤やこの日の出席者からの共通の声に対しては、全額税額控除の寄付税制を提案し、健全な非営利組織が公共を担う仕組み作りの重要性を指摘しました。

 そして最後に工藤が「健全な市民社会のためには健全な議論が不可欠である」と述べ、市民が主導権を握って政治との間に緊張関係を構築する必要性を強調して今回のメンバーフォーラムを締めくくりました。

文責:インターン 河野智彦(東京大学)

 3月23日、今年第1回目となるメンバーフォーラム朝食会が都内にて開催されました。今回はゲストスピーカーとして元金融・行政改革担当大臣で、今年1月に自民党を離党した渡辺喜美氏をお招きして「日本の政治改革」をテーマに講演していただきました。