最後との砦として言論機関が力を発揮する年に
宮内義彦(オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長・グループCEO)
まず、言論NPOが生まれまして9年。この間、本当に中立的な言論ということを保ちながら、考え方を広く知ってもらおうというご努力をされてきことに対しまして、心からお祝いと敬意を表したいと思います。
さて、そういう中で、昨今の日本の政治、経済を見ておりますと、沢山大きな課題というものが生まれてきたように思います。そういう中で、私は、言論NPOが益々大きな力となって、日本を変えていく、日本を動かしていくという原動力になってほしいと念じております。特に、昨今の政治情勢を見ますと、政治の要であります内閣、あるいは議会というものが政権交代、そしてねじれ現象というものの中で、非常に大きなダイナミックな動きがやりにくくなってきている。また、ダイナミックな動きをした結果、非常に大きな問題をつくり上げてしまった、政治の失態というようなものも見られるわけであります。こういう時には、まさに政治を正し、政治を動かすという意味では、「言論」の力というものは、これまでにないほど重要な位置にあると思います。そういう意味で、現在の政治情勢、そして国際情勢を見ますと、その中で下手をすると機能不全に陥りそうになる政治を励まし、導き、叱咤して日本のために動いてもらうようにするという、残された道は「言論」しかない。そういう意味で、言論NPOがその中で、大きなポジションを占めていただきたい、というふうに思います。
もう一言、経済について言いますと、これも日本の経済は1999年以来、20年にわたる停滞を繰り返し、デフレの中で経済が伸びないという状況が生まれているわけであります。お隣の、アジアでは大変な活況といいますか、そういう中で成長を示している。そして、世界を引っ張ってきたアメリカ、ヨーロッパがリーマンショック以来、非常に内向きになり、傷ついているという中で、日本はここで20年プラスの経済停滞を続けるということは、私はあってはならないと思っています。そのためには、日本経済の構造を変えていくということをやらなければいけないわけでありますが、残念ながら、現在の政治情勢を見ると、経済の在り方、経済の現況につきまして、十分な理解を持っているとはとても思えない。そういう中で、やはり繰り返しますが、「言論」が日本の経済、このままではダメなんだ、変えていこうじゃないか、前向きに進もうじゃないかというイニシアチブを取っていただくということは、非常に重要だと思います。私は、政治、経済共に、今大きな問題を抱え、直面し、苦悩している日本にとりまして、言論機関というものが最後との砦として力を発揮してもらいたい。その中での、言論NPOのご活躍を心から応援したいし、期待し、ぜひこれまで以上の力を示していただきたい、このように思っております。
まず、言論NPOが生まれまして9年。この間、本当に中立的な言論ということを保ちながら、考え方を広く知ってもらおうというご努力をされてきことに対しまして、心からお祝いと敬意を表したいと思います。