時代を切り拓くための「覚悟」を、リーダーに気付かせる必要がある
増田寛也(野村総合研究所 顧問)
今、日本に欠けているもの、特に様々な分野でのリーダーに欠けているのは、自分の信念と覚悟を持って、その覚悟を外に出していく、さらには行動する。そこが欠けていると私は思います。これは、明治、大正、昭和、そんな昔まで戻る必要はなくても、国がどんなに貧乏だって、そういう常に覚悟を持った人たちが出てきて、時代を切り拓いていく。今、その覚悟が、リーダーに決定的に欠けている。
いつも周りをキョロキョロ見ながら、あるいは後ろ盾を求めて、それで行動する人が何でこんなに増えてしまったのか。政党、特に政治リーダーに、まさにそういった覚悟の程が見えない。今、国家的な危機だと、そして政治が混迷していると、色々なことが言われています。それをやはり立て直していくには、国民が、国民の生の期待というものを、そういうところに、厳しい立場でぶつけていかなければならない。それは色んなことを気にして、周りを見ながら発言する、あるいは色んなことを政権にいうということではなくて、言論NPOは、全くそういうところから自由で、そして何にも影響されることなく、自分たちの信念だけでNPOとして、相手がいかに国家権力であろうと、はっきりとモノを言っていく。そういう姿勢が、これまで言論NPOが支持されてきた理由だと私は思うのですが、こういう時代だからこそ、むしろ政府に対して、ある種気合いを込めた言論NPOがいうことが、今一番欠けているものを彼らに気付かせることになるのではないかと、私は思います。
色々な立場で、政治を分析し評論するような、そういう団体は確かにあります。でも、みんな何かしら政府と関係があったり、あるいはかつての政府と関係があったり、色々なことで、思惑がある。その背景はなんだろうな、ということを勘ぐりたくなるようなものもある。そういう中で、言論NPOは政権がどうあろうと、あるいは世界がどうあろうと、一貫した厳しい批評をしなければいけないという、そういう精神のもとで、批評し、行動してきたということは、非常に重要なことだと思っておりますし、またそういう団体だからこそ、まさに傾聴に値する光のようなものが出てくるのではないかと思っています。そういう意味で、新しい年も更に、言論NPOに期待したいと思います。
今、日本に欠けているもの、特に様々な分野でのリーダーに欠けているのは、自分の信念と覚悟を持って、その覚悟を外に出していく、さらには行動する。そこが欠けていると私は思います。