2014年、日本の課題を解決していく中で言論NPOが果たすべき役割とは / 槍田松瑩(三井物産株式会社 取締役会長)

2014年1月01日

槍田松瑩氏槍田 松瑩
(三井物産株式会社 取締役会長)


2014年、「CHALLENGE」の先にある「CHANGE」を見据えて

 2013年の日本は、政権交代により、久し振りに政治が経済を積極的に主導し、長期に亘るデフレからの脱却に向けた一歩を踏み出した1年であったと言えます。いわゆるアベノミクスの「3本の矢」により、行き過ぎた円高は修正され、株価も大幅に回復しました。また、TPPへの交渉参加や消費税率引き上げなどの思い切った政治決断がなされ、更には、2020年の東京でのオリンピック・パラリンピック開催を勝ち取る等、世界からポジティブな意味での注目を集める出来事が多くありました。

 一方2014年は、アベノミクスの第3の矢である「成長戦略」を実行に移し、日本を新たな成長のステージに乗せ得るかを判断する重要な年となります。成長戦略を実行する上で特に鍵となるのは、TPPと規制改革の象徴でもある国家戦略特区ですが、全ての日本人が、これらの変革に向けた取組を我が事として捉え、ただ状況を注視するのみならず、自分達の立場なりに出来ることを行動に移していくことが重要です。
 世界は急速にグローバル化の道を進んでいます。「日本だけが良ければ良い」という発想は最早通用しません。日本だけが良いという事自体、最早有り得ないのです。
 グローバル化に伴い、国家間の関係は益々複雑化していきます。日本と中国、日本と韓国といった、単純な1対1の関係ではなく、地域や条約で結ばれる複数の国家間の関係が益々重要となって行きます。

 言論NPOには、これまで「東京-北京フォーラム」などで追求してきた「民間対話の輪」を、今後更に広げていく事を期待します。既に工藤代表は、2014年は民間外交を更に強化していくとの構想を明らかにしていますが、現在の極東情勢を改善する為に民間で出来ることは、大いに推進していけば良いと思います。輪を広げていく事は、更に多くの異なる意見と遭遇する事を意味しており、その調整の為に今まで以上の困難に直面する事もあるかもしれません。それでも我々はその中に進むべき道を見つけて行くべきでしょう。
 言論NPOには引き続き積極果敢に様々な取組に「CHALLENGE」して頂きたいと思います。CHALLENGEの先には「CHANGE」が有る、その起点として、本年の言論NPOの活動に大いに期待しています。



明石 康 (国際文化会館理事長、元国連事務次長)小倉 和夫(国際交流基金顧問)川口 順子(明治大学国際総合研究所特任教授、元外務大臣)武藤 敏郎 (大和総研 理事長)宮本 雄二 (元駐中国特命全権大使)茂木 友三郎 (キッコーマン株式会社 取締役名誉会長 取締役会議長)宮内 義彦 (オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長グループCEO)アドバイザリーボード紹介