言論NPOは、新年を機に「2015年の日本を考える」と題して、有識者を対象にアンケート調査を行いました。
調査は言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2014年12月27日から2015年1月5日までの期間でメールの送付によって行われ、ご回答いただいた279人分のアンケート結果を集計し、分析しました。
回答者の属性は、男性が88.9%、女性が10.4%となっています。年齢別でみると、10代が0.4%、20代が3.9%、30代が6.1%、40代が10.0%、50代が28.3%、60代が28.7%、70代が19.4%、80歳以上が2.9%です(それ以外は無回答。以下同様)。回答者の職業は、企業経営者・幹部が15.1%、会社員が11.68%、メディア幹部が3.2%、メディア関係者が8.2%、国家公務員が2.5%、地方公務員が3.2%、国会議員が0.0%、地方議員が1.1%、NPO・NGO関係者が8.2%、学者・研究者が10.8%、各団体関係者が6.5%、学生が1.4%、自営業が7.9%、その他が19.7%となりました。
回答者の属性
総論
8割を超える有識者が2015年を重要な1年になるとみている
2015年が日本にとって、「決定的とまではいわないが、日本の将来に影響を与える重要な1年になる」と考える有識者は62.0%、さらに、「日本の将来に影響を与える、決定的な1年になる」と考えている有識者も24.0%いました。合計すると86.0%と8割を超える有識者が2015年を重要な1年になるとみていることになります。
日本の課題では、成長戦略に加え、財政再建・社会保障改革など中長期的な課題に注目する見方が急増
2015年、日本の社会や政治のことで特に気になることは何か尋ねたところ、最も多かった回答は「安倍政権の成長戦略が成功できるか」の37.6%でした。これに続いたのは、「日本の財政再建」(33.7%)と、「将来を見据えた社会保障の改革」(29.7%)の2つで、それぞれ昨年から10ポイントの増加となりました。他にも、「少子高齢化に対する対策」も昨年から大幅増となるなど、財政と社会保障の持続可能性に関する有識者の問題意識が強まっていることがうかがえます。
世界的な課題では、国際テロの動向に関心が集中している
続いて、2015年に世界が直面している課題の中で、特に気になることは何か尋ねたところ、「イスラム国など、国際的なテロの動向」という回答が57.7%となり、突出した関心を集めています。
アベノミクスの成否については見方が分かれたものの、財政再建については8割が厳しい見方を示す
安倍政権が進めるアベノミクスと、財政再建の見通しについて尋ねたところ、「アベノミクスは十分な効果を上げられず、日銀が実質的に財政をファイナンスする状況はいずれ破たんする」という回答が、43.0%で最多となりました。次いで、「アベノミクスはある程度成功するが、財政再建は進まず、日銀が国債を引き受ける状況が長期化する」が37.6%となり、「アベノミクスの成功で経済は成長し、財政再建の環境が整う」は6.8%にとどまりました。
6割を超える有識者が、2015年に日本の政治に新しい変化は起こらないとみている
2015年の日本の政治に新しい変化を期待できるか尋ねたところ、「期待できない」という回答が64.5%と6割を超え、「期待できる」の19.0%を大きく上回り、有識者の間で日本政治の現状に対して厳しい見方が広がっています。
最後に、この2015年を、日本の未来にとってどのような年にすべきかについて、自由記述形式で尋ねたところ、財政再建や社会保障改革に向けた取り組みを求める意見や、「戦後70年」を念頭に、世界、そしてアジアにおける「平和国家・日本」として、新たなスタートを切る1年とすることを期待する意見が目立ちました。
2015年はどのような年になるか
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2015年、日本や世界の課題
2015年、日本の社会や政治のことで特に気になることは何か尋ねたところ、最も多かった回答は「安倍政権の成長戦略が成功できるか」の37.6%(昨年は34.8%)でした。これに続いたのは、「日本の財政再建」の33.7%(昨年23.0%)と、「将来を見据えた社会保障の改革」の29.7%(昨年19.7%)の2つで、それぞれ昨年から10ポイントの増加となりました。他にも、「少子高齢化に対する対策」が、昨年の9.0%から20.4%へと大幅に増加するなど、財政と社会保障の持続可能性に関する有識者の問題意識が強まっていることがうかがえます。
一方、前回調査では42.6%で最多だった「日本と中国、韓国などの近隣国との関係改善」は、昨年11月に日中首脳会談が実現したためか、今年は21.1%とほぼ半減しました。
なお、安倍首相が強い意欲を示している、「憲法改正に向けた動き」(18.3%)と、「集団的自衛権行使を巡る安全保障関連法案」(17.9%)は、いずれも2割近くに上るなど、一定の有識者の関心を集めています。
続いて、2015年、世界が直面している課題の中で、特に気になることは何か尋ねたところ、「イスラム国など、国際的なテロの動向」という回答が、57.7%で最多となりました。これに続く「南シナ海や東シナ海での中国と周辺国との対立」(33.3%)や、「TPPなどメガFTAの成否」(19.0%)を大きく引き離しており、国際テロへの関心がやや突出しています。
2015年は、安倍政権にとってどのような年になるか
2015年が安倍政権にとってどのような年になるか尋ねたところ、「様々な問題が表面化し始め、政権運営に黄信号がともる1年になる」という回答が49.5%(昨年は52.5%)と最多となりました。また、「安倍首相の基盤そのものが崩れ始める1年になる」も11.5%(昨年13.1%)あり、この2つを合計すると、6割の有識者が、安倍政権の政権運営に対して厳しい見通しを示しています。
他方、昨年末の衆議院総選挙の大勝により、政権基盤を強固にしたためか、「リーダーシップを発揮し、課題解決に向けて着実に動いていく1年になる」という回答も、昨年の17.6%から27.2%へと10ポイント近く増加しています。
続いて、安倍政権が進めるアベノミクスと、財政再建の見通しについて尋ねたところ、「アベノミクスは十分な効果を上げられず、日銀が実質的に財政をファイナンスする状況はいずれ破たんする」との回答が、43.0%で最多となりました。次いで、「アベノミクスはある程度成功するが、財政再建は進まず、日銀が国債を引き受ける状況が長期化する」が37.6%となり、「アベノミクスの成功で経済は成長し、財政再建の環境が整う」は6.8%にとどまりました。
アベノミクスの成否については、成功が4割、失敗も4割と見方が分かれていますが、財政再建については、8割が厳しい見通しを示していることになります。
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2015年、日本の政治に新しい変化を期待できるか
現在、日本の政治は、日本が直面する課題に対する解決方法を競い合っていません。2014年の衆議院選挙では有権者にとっては自公政権継続以外の選択肢は見えず、投票率も戦後最低となりました。そこで、2015年の日本の政治に新しい変化を期待できるか尋ねたところ、「期待できない」という回答が64.5%と6割を超え、「期待できる」の19.0%を大きく上回り、有識者の間で日本政治の現状に対して厳しい見方が広がっています。
最後に、この2015年を、日本の未来にとってどのような年にすべきかについて、自由記述形式で尋ねたところ、問3でも示されたとおり、財政再建や社会保障改革に向けた取り組みを求める意見や、「戦後70年」を念頭に、世界、そしてアジアにおける「平和国家・日本」として、新たなスタートを切る1年とすることを期待する意見が目立ちました。
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