福川伸次氏(高度技術社会推進協会顧問)
私は今、世界は大きな転換期に来ているのではないかと思っています。1989年にベルリンの壁が崩壊したときには、世界は連帯の秩序によって維持され、そして市場経済によって経済は成長すると人々は期待を持ったと思います。しかし最近の状況は、その期待に反してかなり危機的な状況になってきています。
今は政治がポピュリズムによって左右される状況にあり、またグローバル化が進み市場経済も危機に直面しています。日本の政治もここ30年、ポピュリズムに向けて劣化を続けてきておりまして、今こそ、この日本の政治をいかに再生するかということが問われています。世界の市場も同様でございまして、これをどのようにして改革していくかということが非常に大事だと思います。長期のビジョンを持ち、それを実現するための具体的な施策を作り上げていくことだと思っています。新しい文明、新しいシステムをどのようにして作っていくか、これが問われるところでございます。
言論NPOも発足して10年の月日が経ちましたが、今こそ志を新たにして、新しい政策の形成、政治・経済の運営に取り組まなければならない、そのような時期に来ていると私は考えております。我々はこれまでもどのようにして世論を形作っていくかということに努力をしてまいりましたが、ここでもう一つ考えなくてならないことは、質の高い議論を形成していくことであると思います。そして、それに向けて政治や行政を引っ張っていく、こうした努力が必要だと思います。これからどのようにしたらそれを実現できるのか、また将来のビジョンの実現のためにどういう行動を取らなければならないのかといったことが問われていると思います。同時に世界にどのように発信をしていくかということが問われているわけで、現在世界では日本の存在感が大変小さくなってきております。これを乗り越えていくことが非常に大事でございます。今こそ言論NPOは、人々の間に深く浸透しつつ、そして質の高い議論を展開して将来の新しい世界・新しい日本を作り上げていく、こうしたことに貢献するべきではないかと思っております。
私は今、世界は大きな転換期に来ているのではないかと思っています。1989年にベルリンの壁が崩壊したときには、世界は連帯の秩序によって維持され、そして市場経済によって経済は成長すると人々は期待を持ったと思います。しかし最近の状況は、その期待に反してかなり危機的な状況になってきています。