欧州ソブリン問題と内外の金融経済情勢

2012年1月13日

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 1月12日、言論NPOの第27回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、日本銀行副総裁の山口廣秀氏をゲストにお迎えし、「欧州ソブリン問題と内外の金融経済情勢」をテーマに、議論が行われました。

 山口氏は、まず、海外経済の動向に触れ、欧州では、「財政、金融、実体経済の間で負の相乗作用が起こり始めており、これまで景気が堅調だった国でも景気低迷の影がみられる」と説明しました。そのうえで、欧州ソブリン問題が、貿易、金融、資産価格変動、マインド面といったルートを通じて世界経済に波及し得るとの見解を述べました。続いて、米国経済について、家計のバランスシート調整が長引く中、金融と実体経済の両面で欧州との関係が強いこともあって、「短期間で悲観論に転じる可能性もないとはいえない」との見方を示しました。また、新興国経済に関しては、国ごとに景気・物価のバラツキが拡がってきており、新興国が全体として世界経済のけん引役となりうるか、不透明な面もあることを指摘しました。

 日本経済の動向に関しては、「東日本大震災の後、サプライチェーンの寸断など供給サイドの制約が広範囲で生じ、経済活動を大きく下押したが、輸出や生産は夏場には概ね震災前の状況に復した。しかし、欧州ソブリン問題が、夏場には為替円高という資産価格変動のルート、秋口以降は海外経済の減速に伴う輸出の減少という貿易面のルートを通じて、日本経済を下押しており、足許では持ち直しの動きが一服している」と説明しました。しかし、一方で、「個人消費が堅調な動きを示しているなど内需は底堅い」ことも指摘しました。先行きについては、「緩やかな回復経路に復していく」との見通しを示しました。

 このような欧州ソブリン問題の現状と、世界経済および日本経済の動向を踏まえて、欧州ソブリン問題を巡る課題について、「本質的な解決にはユーロ圏における財政の統合や経済の生産性向上に向けた構造改革が必要である」ことを指摘しました。そのうえで、金融市場への資金供給や金融機関に対する資本注入を通じて、金融市場と金融システムの安定を確保している間に、問題の本質的な解決を図るべきであるとの見方を示しました。また、米国や日本を含めた他の先進国も、欧州と同様、政府部門を中心とする債務の膨張と生産性の低下という問題を抱えており、構造改革に取り組むことが必要であると述べました。

 その後行われた参加者間の議論では、日本の財政に対する見方や成長力の強化策のほか、バブル崩壊後の日本の経験から欧米に提供できる教訓などについて、活発な意見交換がなされました。


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1月12日、言論NPOの第27回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、日本銀行副総裁の山口廣秀氏をゲストにお迎えし、「欧州ソブリン問題と内外の金融経済情勢」をテーマに、議論が行われました。