「元気のない日本?」外国から見た日本/佐藤玖美(株式会社コスモ・ピーアール 代表取締役)

2010年2月21日

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佐藤玖美(株式会社コスモ・ピーアール 代表取締役)




 私は1年の3分の1を海外で過ごしている。日本にいると、気分の問題だが、最近は気が滅入ることが多い。特に、中国や香港に滞在してから帰国すると、街中に溢れるネガティブなキャンペーンなど、日本の活気はいったいどこにいったのだろうと嘆かざるを得ない。日本のリーダーたちは、なぜ日本の将来の青写真を描こうとしないのか?それとも描けないのだろうか?描きたいが慎重過ぎるのか?

 目標が見えない日本は、日本の経済と市場の低迷、日本人の将来への夢の無さ、子供を生まない理由などなど、その青写真の無い事が全てに影響している事に気がついていないのか?いや、気がついてないわけではなく、日本の将来を懇々と説き、描く勇気が無いのかもしれない。目標設定はもっと簡単な事であるはずだ。目標の無い日本は外国人からすると、無表情に見えてしまう。

 また、日本はいつから外国の事を気にしなくなったのか?日本だけがグローバルの世界についていけず、相変わらず内向きの議論ばかりしていてよいのか?
 無論「政権交代」はある意味では日本の「大掃除」かもしれない。この55年間のアカを落とす意味があるが、これは民間でいう「社内のリストラ」。企業のトップが青写真を描かなければ、必要な社員までが辞めてしまうことになる。
 トップ自ら明るいビジョンを持たなければ、明るい未来はないということを、新たに認識し直そう。

 では何をしたらよいのか?
 日本のリーダー達が、まず青写真を描くことだ。それもロジカルに、目標に対して分かりやすく書く。これは自分だけのこうしたいという思いで充分だ。
 他人の意見やコンセンサスを聞くことも必要だが、初めはその必要はない。何をやるべきかの優先順位を決める。優先順位を決めれば、何からすべきなのか、時間軸が見えてくる。その時間軸を基に、タイムラインが見えてくる。
 あれもこれも全部をやるのではなく、国民が必要だと思うものから優先順位をつけ、具体案におとしこんでいく。そして行動に伴うアクションプランを書き、「いつ、誰が、どこで、何を、何故、どのように」といった5W1Hを明確にする。さらに組織の人材配分を考え、自分が言いだしたことはやり遂げるようにすることだ。

 民主党にも、自民党にも、「良い人材」はいるはずだ。派閥を超えた「オールジャパンチーム」を結成する。さらに役人の良いところを見つけ、ほめて協力してもらう。私が言っていることは、民間の企業では、あたりまえのことだ。この基本的な考えを、政治にも対応してもらう。政治家たちにスピード、感性、コミュニケーションの重要性を是非知ってもらいたい。良いリーダーシップは、世界にも通用する。外国にとって、「わかりやすい日本」には直接投資が増え、これから雇用を増やすきっかけになる結果、国内に良い人材が残る。日本がどう変わろうとも、せめて「思いやりのある日本人」というイメージはキープしてもらいたい。「志」のある人のことも、ほめる事も重要である。

 ネガティブなことを言い過ぎたけれども、私が感じることは、日本の若い人達と話をしていると、元気が出てくる。今の若い人は、夢が無いとか、元気が無いとか言われているが、そうとは言えないのではないか。組織にも頼らない、国にも頼らない、自分の力で、自立して、社会に貢献したいという若い人達がたくさんいる。もっと、もっと、若い人達の活躍を期待している。

 1月4日付の朝日新聞のある出版社の見開きの全面広告に、素晴らしいフレーズが掲載されていた。
 『日本はうまくいく。と思うことから、日本はうまくいく。』

 私は1年の3分の1を海外で過ごしている。日本にいると、気分の問題だが、最近は気が滅入ることが多い。特に、中国や香港に滞在してから帰国すると、街中に溢れるネガティブなキャンペーンなど、日本の活気はいったいどこにいったのだろうと嘆かざるを得ない。日本のリーダーたちは、なぜ日本の将来の青写真を描こうとしないのか?