【論文】小泉改革の再評価を始めたブッシュ政権

2001年12月27日

stork_b011200.jpgブルース・ストーク (米国外交評議会経済学会上級特別研究員/ナショナルジャーナル誌寄稿論説委員)

ジョンズ・ホプキンス大学大学院で国際関係論の修士号を取得。また、コロンビア大学大学院でジャーナリズムを専攻。通商問題に詳しく、中国や日本を中心にアジア問題が専門。日米協会理事などを経て、現在は、米国外交評議会経済学会上級特別研究員とナショナルジャーナル誌寄稿論説委員を兼任。

概要

小泉政府への評価は次第に懐疑的になってきているが、それは不良債権に対する説得的な行動に起こしていないことへの不満もある。経済担当のある高官も「世界全体で経済が減速しているからといって、構造改革までスローダウンさせていいということにはならない」という。構造改革に対する国内の抵抗を乗り越えるために援護射撃をしようとする考えも、一部にはある。最終的な米国の評価は、小泉内閣が予算案の討議をどのように収めるかにかかっているが、今後、数週間、あるいは数カ月にわたって、ブッシュ政権の小泉首相に対する公的支援の姿勢には注目すべきだろう。

要約

ここ数週間、ブッシュ政権の高官は小泉政権の実績、日本経済の今後の見通し、そして米国の同盟国としての日本の将来の役割について、内部での再検討に着手している。その結論はまだ出ていない。そしてこの討議の結果、ワシントンから新たな議案が提出される可能性も低い。しかし、行政側の再検討は、世界経済および安全保障に対するホワイトハウスの評価を形成するのに役立つであろうし、また、将来、米国が地球規模の問題に対処する際の、日本と小泉政権に対する信頼感にも影響を及ぼす。

予想されたように、これらの会議の参加者が当初、出した結論は、安全保障面と経済面とで2つに割れた。同時多発テロの報復報道に対する日本政府からの積極的な米国支援については、おおむね感謝と満足と、そして一種の驚きをもって受け止められている。これに対して、小泉首相の経済政策に対する評価ははるかに厳しい。別のブッシュ政権の高官は「今後数カ月以内になんらかの行動を取る必要があるだろうというのが、現在固まりつつあるコンセンサスだ」と、そして「早くしないと手遅れになる」と発言する。


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 小泉政府への評価は次第に懐疑的になってきているが、それは不良債権に対する説得的な行動に起こしていないことへの不満もある。経済担当のある高官も「世界全体で経済が減速しているからといって、構造改革までスローダウンさせていいということにはならない」という。