【座談会】不良債権問題を語る

2001年12月27日

nakajima_a011200.jpg中島厚志氏 (日本興業銀行 調査部長)
なかじま・あつし

日本興業銀行 調査部長、TV東京「ワールド・ビジネス・サテライト」コメンテーター 東京大学法学部卒業後、日本興業銀行に入社。業務部、国際営業部、パリ興銀社長などを経て現職に至る。

kinoshita_n011200.jpg木下信行 (金融庁監督局総務課長)
きのした・のぶゆき

金融庁監督局総務課長。1954年生まれ。1977年東京大学法学部卒。1977年大蔵省入省。1986年JETROフランクフルト事務所長、1997年大蔵省銀行局金融市場室長、1998年金融監督庁企画課長を経て、2001年より金融庁監督局総務課長。

nemoto_n020425.jpg根本直子氏 (スタンダード&プアーズ 金融サービス部ディレクター)
ねもと・なおこ

早稲田大学 法学部卒業。University of Chicago, Chicago, IL 経営学修士(MBA)。日本銀行に入行。金融調査などの企画に従事。94年、スタンダード&プアーズに入社。金融機関グループヘッドとして、日韓の金融機関の分析を担当。

概要

小泉政権発足時の最大のテーマでもあった銀行の不良債権問題は、日本経済が深刻なデフレスパイラルに落ち込みつつある中で、当面の最大のテーマに浮上している。現在の危機的状況を日本と日本の金融機関はどう打破すべきなのか、銀行エコノミストで興銀調査部長の中島厚志、格付け機関のスタンダード、アンド、プア―ズディレクターの根本直子、金融庁監督局総務課長の木下信行の三氏が語り合った。

要約

いま、あらゆるメディアで「不良債権問題」が大きくクローズアップされている。小泉内閣が銀行の不良債権を3年で最終処理する方針を掲げているからだ。

しかし、「不良債権を最終処理しなければ景気回復はない」という論者と、「不況のなかで不良債権処理を急げば、経済は危機的状況を迎える」という論者に、意見は大きく分かれている。

そこで今回は、当事者である銀行、金融行政を統括する当局、そして、マーケットの視点から銀行経営をウオッチしている格付け機関、それぞれの立場から、不良債権問題について論じてもらった。

興銀の中島氏は、銀行の自助努力を第一義としながらも、景気下支えがないなかで不良債権処理を急速に進めれば、経済と信用は雪崩をうって縮小する危険性があるとする。

一方、民事再生法や私的整理のガイドラインなど企業の早期再建の仕組み、企業ファンドや債権流動化などの仕組みを活用し、不良債権処理を進めていくとともに、経済構造改革を推進することが重要であると、金融庁の木下氏は指摘する。

そして根本氏は、不良債権処理だけでなく、銀行が自らの収益構造を大胆に転換しなければ、マーケットからの信用は回復しないと警鐘を鳴らす。


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