宮内義彦氏
(オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長グループCEO)
近々選挙があるという時に言論NPOが「政治家に白紙委任しない」というキャンペーンを行っています。これについてはその通りだと思います。歴史を紐解くまでもなく、ドイツのナチス政権は、民主的な政権、選挙で選ばれた政権であり、その座に就いた後、政権が思うままに動かしていき、結局独裁政権をつくり、第二次世界大戦に導いた歴史があります。そういう意味で民主的な形をとればそれで政治は良くなる、ということでは絶対ないと思います。
政治家の考え方をよく勉強し、立候補した政治家の中で自分の考えに最も近い人に投票するという行動はどこでも同じですが、その行動で自分の政治活動はおしまいということではなく、その次は有権者がその政治家の動きを常にチェックする。またこちらの意見も強くインプットしていく。さらに政治家は自分の考えを選挙民に伝える。その相互作用を繰り返しながら政治活動をしてもらう。こういうことが民主主義の真髄であり、民主主義とは投票しておしまいということではないと思います。
そういう意味で日本の民主主義は有権者と政治家の相互作用が非常に少なかった。あるいは、その相互作用というと選挙民が個別の利害を求めるということに終始していました。もしそれが事実であるとすればこの選挙を機会に変わり、選挙民が思う政治のあるべき姿を常に自分の投票した政治家に伝え、プレッシャーをかける。あるいは政治家の考えを聞きながら勉強していく、こういうことを続けていけば本当の民主主義が生まれてくると思います。
いずれにしましても次回の総選挙は近々であります。選挙に際しまして国民の責任は大変大きいと思います。その責任を果たすべき第一は棄権をしないということであります。棄権をするということは民主主義を否定しているということになると思います。
近々選挙があるという時に言論NPOが「政治家に白紙委任しない」というキャンペーンを行っています。これについてはその通りだと思います。歴史を紐解くまでもなく、ドイツのナチス政権は、民主的な政権、選挙で選ばれた政権であり、その座に就いた後、政権が思うままに動かしていき、結局独裁政権をつくり、第二次世界大戦に導いた歴史があります。そういう意味で民主的な形をとればそれで政治は良くなる、ということでは絶対ないと思います。