11月4日、東京大学で「現代日本の求める官僚とは」というシンポジウムが開催され、言論NPO代表の工藤泰志がパネリストとして参加しました。その中で工藤は、官僚には批判される点はあるが、なんでも官僚を批判しているような風潮は問題だと指摘した上で、今後の日本の政策決定のあり方については、民間側に政策をしっかりと議論できる市場が必要だとし、官民が競争して日本の課題解決に向かい合うような仕組みが日本の政治を変えることになると主張しました。
セミナーでは、東京大学の前公共政策大学院長の森田朗氏が司会を務め、工藤の他に、前総務大臣の増田寛也氏、公共政策大学院教授で元経済産業政策局長の林良造氏、東京大学の先端科学技術研究センター教授の御厨貴氏、新しい霞が関を創る若手の会「プロジェクトK」代表の朝比奈一郎氏がパネリストとして参加しました。そして、来春の採用で官庁に内定した学生や官僚志望の学生が約150人参加しました。
この日の議論は、現在の行政や官僚に対する批判が厳しいことをどう考えるか、今後の日本の政策決定のあり方、さらにこれからの日本に求められる官僚像の3点に関して、行われました。まず増田氏は、現在の官僚の問題点として、モラルハザードが見られること、問題解決能力が低下していること、自ら官僚の職をやめてしまっている官僚が多いことを挙げました。
他のパネリストからも省庁別の縦割りの官僚の行動に対する問題点などが指摘されました。それに対して工藤は、官僚には批判される点はあるが、なんでも官僚を批判しているような風潮は問題解決で思考停止しているのと同じで問題だと指摘しました。公務員が公共心を持って、課題解決に向かい合うことはますます大事であり、そうした最前線に若い官僚の皆さんが立てることは羨ましいとした上で、「これからの日本は民が官と政策を競い合うような環境を構築し、官民の政策競争市場を活性化し、人材の交流が進むようにする必要がある。こうした政策マーケットの発展が日本の政治を変えることにもなる」と述べました。
また、増田氏や林氏、御厨氏からは、これからの官僚は日本という国全体を見渡す視点や、世論や政権運営も含めた政治の全体像を把握する視点を持ってほしいとし、朝比奈氏は、官僚の専門性は大事だがそれだけでは縦割りが進んでしまうので、人事管理の担当者を政治任用してはどうかと提案しました。
最後に工藤は、言論NPOの政策評価などの活動に、数多くの学生がインターンとして参加していることを紹介し、日本の将来に向けて、若い層の中にも変化があることを指摘し、民間の政策の議論の舞台を強めることが日本の官僚や民主主義をより強いものにすると訴えました。
文責:学生インターン 安達佳史
11月4日、東京大学で「現代日本の求める官僚とは」というシンポジウムが開催され、言論NPO代表の工藤泰志がパネリストとして参加しました。その中で工藤は、官僚には批判される点はあるが、なんでも官僚を批判しているような風潮は問題だと指摘した上で、今後の日本の