2007年 日本の言論に問われていること
― 言論NPOのアドバイザーはこう主張する vol.6 ―
宮内義彦(オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEO)
みやうち・よしひこ
1935年生まれ。58年関西学院大学商学部卒。60年 ワシントン大学経営学部大学院修士課程(MBA)卒。60年日綿實業株式会社(現ニチメン株式会社)入社。64年オリエント・リース株式会社(現オリックス株式会社)入社。取締役、代表取締役専務、副社長、社長を経て、2000年より代表取締役会長兼グループCEO。
『2007年 日本の言論には何が問われているのか』
今の日本の言論を、経済的な側面から見ていますと、「成功した人」と「成功していない人」といった議論が多くなっていると感じます。成功したと思っている人々のおごりや高ぶりのような感情と、成功しなかったと思っている人々の妬みやあきらめのような感情、日本の言論はこの感情をさらに対立させ、その構図を増幅させているのではないでしょうか。今の言論は、いわば"おもしろくない社会づくり"に貢献してしまっているのではないか、という気さえしてきます。
成功した人のおごりの部分は、日本の伝統的な道徳である「謙虚さ」に、一方の妬みの部分は、努力、向上するという「前向き」の方向に変えていく。言論をきっかけに、人々の考えがこういった良い循環をつくり始めるようでなければ、社会的意味はないと思うのです。
日本の人々にとってマイナスの増幅ではなく、プラスの増幅を生み出すような言論を、どのようにつくり出していったらいいのか。これこそ言論NPOの活動の原点ではないでしょうか。そこへメスを入れるきっかけを、言論NPOにおける2007年の議論から考えていければと思います。
言論NPOアドバイザーの方々に「2007年 日本の言論には何が問われているのか?」をテーマに発言していただきました。今日は宮内義彦氏の発言をご紹介します。