震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン

2011年6月08日

 6月8日、都内ホテルにて、言論NPOの第22回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、参議院議員の林芳正氏をゲストスピーカーとしてお招きし、「震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン」と題して、議論が行われました。

 まず、代表工藤は、「今回の震災を機会に大きな変化が始まろうとしている中で、その変化の最前線にいる林先生には、自民党としては何を考えているのか、そして、いまの政治をどのようにして機能させることができるのかということを伺いたい」と今回の趣旨を説明しました。

 林氏はまず、5月末に自民党が明らかにした「震災後の経済戦略『緊急提言』」に触れ、これまでの政府の問題点や被災地の本格的復旧・復興のための緊急対策の方針を説明しました。その中で林氏は、復興にかかる費用について、「まず、民間資金を活用する。そのあとで、財政投融資の枠組みを使い、それでも足りない部分について「真水」ということになる」と述べた上で、「いま増税するのではなく、復興再生債で調達した上で必ず何年か先にきちんと召喚する、そのための財源を確保する」として、自民党としての方針を語りました。

 また、復興のための対応が遅々として進まない点に関して、政官関係がスムーズでなく、「日々の行政の運営(執行)が捗らない」ことを原因のひとつとして指摘、義援金の配分や低レベル汚染水の海洋放出に最しての対応の不味さを例に挙げながら、「(緊急時の行政執行は)ルーティンを超えてやらなければならない」と指摘しました。

 林氏はさらに、民主党の政権運営について、林氏は自民党との比較を行いながら、「非常に大きな権限を政調会長が持っており、逆に細かいところを修正するプロセスは存在していない」と述べるとともに、「与党としては、それぞれがある程度すこしずつ妥協していって最終的にはひとつにまとめていくことが党のプロセス」だが、「そうしたものの決め方のガバナンスが確立されていない」ことが、与党としての機能していない大きな原因との見方を示しました。

 そして、内閣不信任案否決後の対応について、まずは民主党の中できちんと消化してなるべく早く次のリーダーをつくることが重要としつつ、「大連立がマルかバツかということではなくて、その手前の政策的な協力をする政策協議機関を作ればある程度カバーできる。それが現実的なプランとしてはありうる」として、震災に対する様々な施策の協力や提案は惜しまないとの考えを強調しました。

 最後に、今後の復興のビジョンについて、「実態がある程度分散して、ある程度の力の均衡が出てきたとすると、道州制ができる可能性がある」と述べ、今回の震災を契機とした道州制の進展への期待を語りました。

 その後、メンバー間での活発な議論が行われました。「これまで、国のビジョンや方向性がはっきりしないままに、白か黒かのようなことでエモーショナルで政治を選んできたツケが回ってきている。きちっとしたビジョンを持って国民に問わなければ、国民も信を問いようがないのではないか」といった質問に対し、林氏は「次の選挙に向けて、それぞれの政党がどういうマニフェストをつくるのか(が問われる)。我々としては、成長を際立たせたものを作っていかなくてはならない」と述べ、次の選挙にかける意欲を見せました。


林氏の発言については、後日公開いたします。

次回のメンバーフォーラムは、7月5日(火)、文部科学副大臣の鈴木寛氏をお招きして開催します。

6月8日、都内ホテルにて、言論NPOの第22回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、参議院議員の林芳正氏をゲストスピーカーとしてお招きし、「震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン」と題して、議論が行われました。