11月16日、都内ホテルにて、言論NPOのメンバーフォーラムが開催されました。今回は、古賀伸明氏(日本労働組合総連合会会長)をゲストスピーカーとしてお迎えし、「民主党政権に何が問われているのか」をテーマに話し合いが行われました。
古賀氏はまず、政治との関わりにおける連合の役割について、2009年の歴史的な政権交代で初めて支援政党が政権を取ったことを受け、「要求から協議・実現へ」「他責から自責・当事者へ」と連合としての立ち位置の変化が問われていると説明。「これからは、支援する政党がどうやってその政策を実現していくのか、政策の作り込みの段階から協議をしながら、当事者として政治に関わっていく」として、連合としての新しい姿勢を強調しました。
また、民主党政権のこれまでの政権運営について、「大きな期待を抱いたからこそ大きな落胆と失望がある。民主党政権への不信が、政党政治や政治そのものへの不信へとつながってしまったことに対する罪は大きいと率直に言わざるを得ない」としながら、そうした不信を招いた原因の一つとして、東日本大震災に対する対応や、唐突感のある政策発信があったことを指摘しました。さらに、民主党政権の課題として、「どういうプロセスで政策を形成し、決定していくのか、そして人材をどう育成し、どう動かすのか。政策云々と言うより、組織のガバナンスに欠如があった」とし、その根底には「基本的価値観が合意されていない」という非常に大きな課題があると強調しました。
一方で、政党のマニフェストの位置づけが日本では確立されていないことや、衆参ねじれ国会のために政権運営が極めて困難になっている点については、「今の政治全体に問われた大きな課題」と指摘。民主党政権の課題を強調しつつも、「今は新しい政策決定プロセスの入口に立っているに過ぎない」と述べ、日本の民主主義社会を成熟させるために、与野党がともに国会運営の仕組みを問い直すと同時に、国民一人ひとりがそのための社会作りに参画する必要があるとの見解を示しました。
その後、参加者を含めた活発な質疑応答がなされました。代表工藤の「民主党は政権を取ることについてはまとまっても、政策について一致した軸が見えない。民主党にはそもそもまとまる軸がないのではないか」との質問に対して、古賀氏は政策的なまとまりがかけていることを認めつつも、「戦後自民党がずっと継続して政権を担ってきており、政党政治そのものが日本ではまだまだ未熟。苦悩を繰り返しながら、学習をしている時期と見るしか無いのではないか」と指摘しました。また、「どのようにすれば、「生活者の代表」としての連合が国民の声を把握し、政治に対するプレッシャーをかけられるのか」との問いに対しては、「今までは民主党といえば全部賛成ということでやってきたが、一歩立ち止まり、政治家一人一人が、それをどう進めているのかを絶えずチェックしていかなければならない」とし、より緊張感を持った関係が必要との考えを示しました。
11月16日、都内ホテルにて、言論NPOのメンバーフォーラムが開催されました。今回は、古賀伸明氏(日本労働組合総連合会会長)をゲストスピーカーとしてお迎えし、「民主党政権に何が問われているのか」をテーマに話し合いが行われました。