「新政権の課題」 評価会議 / vol.2 安全保障問題

2006年10月31日

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言論NPOは「新政権の課題」と題して、各分野の専門家を招き、継続的に評価会議を行っています。第二回目の評価会議は、先日発足した安倍政権に問われる「安全保障」問題について、倉田秀也氏(杏林大学教授)、道下徳成氏(防衛研究所主任研究官)、深川由起子氏(早稲田大学教授)を招いて、議論を行いました。


現在、安全保障面では北朝鮮問題が浮上し、朝鮮半島を巡る問題がクローズアップしております。この会議が行われたのは、安倍政権時での日中の首脳会談や北朝鮮の核実験、国連の制裁決議前でした。事態は急激に動いておりましたので、その内容の公開を一時見送っておりましたが、再度、それを踏まえた議論を加えることで会議内容の更新を行っているところです。

北朝鮮情勢を踏まえた会議の内容は、マニフェスト評価ブログの中で近日中に公開いたしますが、ここではそれ以外の、安倍政権が抱えた安全保障面の論点を簡単に紹介します。

会議では、小泉政権の安全保障政策に関して、イラクへの自衛隊派遣は、領土防衛だけでない国際協力業務に対してより積極的な役割を果たし、世界の潮流に合わせてきたと評価されました。その一方で、自衛隊を派遣するために、その都度特措法を成立させなければならない国内法の限界があることや、仮に、派遣中に武装行動を受けた場合などの法的不備があり、これらは新政権の課題であると指摘がありました。

さらに、安倍総理が重視している集団的自衛権の問題について議論が進みました。ここでは、「国連などの集団的安全保障体制との関係や、憲法改正が必要かどうかを見極めなければならない」「いずれにしろ、アメリカや世界全体から言われるからではなく、日本の国益から鑑みて、「経済力」や「人」をどういう資源配分をすれば国益を最大化できるのかという視点で考えるべきである」、という意見が出されました。

安全保障分野で、安倍総理は日本版「NSC(国家安全委員会)構想」について言及しています。ただ、経済分野とは違って、日本は安全保障政策の専門家の絶対数が少ない上、決定過程が米国の大統領制と議院内閣制とは大きく異なるので日本版NSCが官僚から分離した形で機能することは難しいのではないか、という意見が出されました。

また、日米関係が次の時代に向けて関係を強化する一方で、オーストラリア、中央アジア、ロシアなどの日米以外の国の大国との関係をどう見定めるか、地域戦略をもとに具体的政策に落とし込めるかが次の課題であると指摘がありました。

最後に、北朝鮮のミサイル、核開発問題で、今年7月のミサイル発射問題を巡る日本、中国、米国の対応を元に議論されました。ここの内容は、情勢の展開を踏まえて再度、議論を行っており、、その内容を踏まえて公開することにします。

今後も、言論NPOでは新政権の課題評価会議を開催し、その議論の内容を言論NPOのウェブサイトで公開し、新政権に残された課題や今後の方向性を考えるための材料を提供していきたいと思います。

言論NPOは「新政権の課題」と題して、各分野の専門家を招き、継続的に評価会議を行っています。第二回目の評価会議は、先日発足した安倍政権に問われる「安全保障」問題について、倉田秀也氏(杏林大学教授)、道下徳成氏(防衛研究所主任研究官)、深川由起子氏(早稲田大学教授)を招いて、議論を行いました。