「小泉首相に代表される日本側の考え方を外国人はなぜ支持できないのか」
靖国問題に関しては、小泉首相が言うように、「戦死した人に敬意をはらうために靖国を参拝するということは個人の自由であるし、他の国が批判するという理由から参拝しない」というのは正しいとは思いません。
ただ、それを小泉さんが個人としてやるのであればいいのですが、総理大臣として靖国に行くというのはやはり日本政府あるいは日本の国民を代表していると外からみられても当然だと思います。
私も以前、靖国神社に行ったことがあるのですが、そこで感じたことは、日本は明らかに一方的に自分達が被害者だという立場しか見せていないということです。しかし、外国人から見ると日本は戦争の加害者ですから、日本が今のように被害者だとの立場からのみ靖国問題を取り上げることは決して賢明ではないと思います。もちろん、日本の国のために戦死した人を尊敬するということは当然のことですが、正式な公式参拝の形で総理大臣が行くということは、やはり外国からみると、理解し難い。中国も韓国もお互いに日本が加害者で自分達は被害者だと考えているし、第三国であるアメリカとかヨーロッパからみても、30年代40年代に日本がこうした国に対してしたことはやはり加害者だ見てる人がほとんどです。
アメリカでは、おそらく日米関係に携わっている人たちしか靖国問題について真剣に考えたことはないと思います。一般のアメリカ人はそれほど靖国のことも知らないし、行ったこともない。ただ、私が知ってる日本研究家の9割ぐらいは総理大臣の靖国公式参拝は間違っていると考えているようです。
こうした人々は、日本のことを心配しているのです。要するに、日本の利益のことを考えたら、中曽根元総理も言うように日本の国益に反すると考えてる人がアメリカにも多いと思いますね。そういう意味では、いわゆる小泉首相に代表される日本側の立場を支持する外国人というのは、少数派です。
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発言者
グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、90年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。
靖国問題に関しては、小泉首相が言うように、「戦死した人に敬意をはらうために靖国を参拝するということは個人の自由であるし、他の国が批判するという理由から参拝しない」というのは正しいとは思いません。