「新政権の課題」 評価会議 / vol.3 「現役官僚が見た安倍政権」開始

2006年11月29日

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言論NPOは、今年9月に誕生した安倍政権に対する評価を、各界の有識者の方々の参加を得て進めています。今回は、中央官庁の幹部クラスの皆さんに座談会に参加してもらう形で議論に加わっていただきました。
(座談会の内容は12月1日から全7回で公開します。)

政権のすぐ近くにいる霞ヶ関の第一線の彼らが、政権誕生後間もない時点で安倍政権をどう見ているのか。日頃メディアを通してしか政権の状況を把握できない一般の有権者には見えにくい側面も含め、今回、こうした議論を公開することが、多くの有権者に新政権への評価の判断材料を提供することになると私たちは考えました。

ただ、政策の当事者たちでもある官僚の皆さんによる忌憚のない発言を確保できるよう、それぞれの立場を考慮して匿名での発言といたしました。

霞ヶ関も、近年の政治主導あるいは官邸主導への転換の中で、そのあり方が抜本的に問われ、官僚機構そのものが大きな曲がり角に来ています。

小泉政権下で「官主導体制」の破壊が進み、そして官邸主導をさらに強化しようとしている安倍政権が誕生した今、彼らはこうした時代変化をどう受け止め、自らの新しい役割やあり方をどのように自己規定し直そうと模索しているのでしょうか。この点は今回の座談会でも浮上したテーマでした。

霞ヶ関の皆さんは政策形成プロセスの現場に身を置いているだけに、その発言は日本の政策を考えるに当たって貴重な視点が得られます。日本では、未だに層の厚い政策論のマーケットが形成されていないなかで、こうした発言を求めることは、日本の政策論の活性化と質の向上に大きく寄与することだと考えました。

議論の中で見えてきたのは、政治主導への転換はまだ過度的な段階で、むしろ混迷状態が続いていること、さらに歴史的な転換期に誕生した政権でありながらも、安倍政権はまだ日本の大きな方向性や理念、哲学を十分に示し得ていないことです。その状態のまま参議院選挙に向かうことの危うさが指摘されました。

ただ、官僚たち自身が最も求めているのは、真の意味での政治のリーダーシップの確立であり、その点では安倍政権下で進む現状の官邸主導の方向自体については、新しい政治の可能性を見出していました。

ここでの問題提起には、政治に問われる課題を考える上での本質的な論点が数多く含まれており、私たちはこれらも踏まえ今後の議論形成につなげていきたいと考えています。


(言論NPO理事 松田学)

 言論NPOは、今年9月に誕生した安倍政権に対する評価を、各界の有識者の方々の参加を得て進めています。今回は、中央官庁の幹部クラスの皆さんに座談会に参加してもらう形で議論に加わっていただきました。