【対談】マニフェストは日本の政治を変えたか

2004年7月05日

furukawa_m040617.jpg古川元久 (衆議院議員)
ふるかわ・もとひさ

1965年生まれ。88年東京大学法学部卒、大蔵省入省。93年コロンビア大学大学院留学。96年民主党結党に参加、衆議院議員初当選。民主党副幹事長、国際交流委員長、ネクストキャビネット(次の内閣)厚生労働大臣などを経て、現在、民主党政調会長代理、ネクストキャビネット官房副長官等。主著に「豊かさの罠」。

hayashi_y030416.jpg林芳正 (参議院議員)
はやし・よしまさ

1961年生まれ。84年東京大学法学部卒。三井物産を経て、94年ハーバード大学大学院修了。91年に米国留学中、マンスフィールド法案を手がけた。 95年参議院議員に初当選(山口県選挙区)。99年大蔵政務次官。現職、参議院予算委員会理事、税制調査会幹事、自由民主党行政改革推進本部事務局長。現在、参議院議員二期目。

概要

今回の参院選は日本の将来を決める岐路になる選挙であり、同時に、昨年秋の総選挙でのマニフェスト(政権公約)での公約実行への中間評価となる選挙でもある。では政権与党の公約の実質的な進捗度を自民党と民主党の政策担当幹部はどう見たか。成立した年金制度改革の評価から小泉改革の全体の進捗まで自民党の林芳正参院議員、それに民主党の古川元久衆院議員の両氏が激論を交わした。

要約

今回の参院選は、昨年秋の総選挙で示されたマニフェストの実行への中間評価となる選挙である。では、与党の公約の実質的な進捗度を自民党と民主党の政策担当幹部はどう見ているのか。

まず、年金改革について、自民党の林芳正氏は、政府案は抜本改革という公約達成のために最大限の努力を払った結果であるとしたが、民主党の古川元久氏は、現行制度の延長に過ぎない政府案は有権者が与党に与えた裁量権の範囲を逸脱しているとした。ただ、民主党も年金の最低保障水準などの基本的な考え方を国民に十分提示できているわけではない。

構造改革について林氏は、マクロの数字の改善は素直に評価すべきで、その全国への波及が今後の課題としたが、古川氏は、「着手」ではなく実行の結果から政策を評価すれば、小泉改革と今の回復との因果関係は薄いとした。小泉総理は改革を最後までやり抜く意思と持続力に欠け、各分野でそれが尻すぼみになっていることが国民の政治への不信感を高めていると古川氏は指摘する。これに対して林氏は、100の現状に対し200の目標を掲げることで現実が150 まで進むことが小泉総理の手法だとした。

古川氏は、日本社会が直面している変化は過去に経験したものとは全く異なり、そこでは正に200をやりきる覚悟が問われているとした上で、民主党の政策の焦点は、強い経済を作るベースである個々人の生産性を高めることに当てていること、最大の構造改革は税制改革であり、年金改革と税制改革(年金目的の消費税)は表裏一体であることを強調する。林氏は、消費税増税は政府・与党は既に織り込み済みであり、その前提としての官のムダの問題への対処が必要であるとした上で、民主党には、単なるアイデアではなく政策の質が問われていると強調する。

最後に古川氏は、今回の参院選から次の衆院選までのワンクールの中でマニフェストを評価する仕組みの定着が必要と強調し、参院選では、党として目指す将来社会の姿を起点にして今を考えるという視点で政策を訴えたいとする。林氏は、今の公約で国民に審判を仰ぎ、それを踏まえて参院選後もさらに良い案をまとめていきたいとした。


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今回の参院選は日本の将来を決める岐路になる選挙であり、同時に、昨年秋の総選挙でのマニフェスト(政権公約)での公約実行への中間評価となる選挙でもある。では政権与党の公約の実質的な進捗度を自民党と民主党の政策担当幹部はどう見たか。成立した年金制度改革の