11月18日、憲政記念館にて、「政治の転換期に言論の役割を問う」をテーマに、加藤紘一氏(衆議院議員)と言論NPO代表の工藤泰志との対談が行われました。
これは、2006年8月に発生した加藤議員宅への放火事件をきっかけとして立ち上げられた「言論の自由を守る活動」が、事件から3周年を迎えたことを記念して開催したものです。この日は加藤氏と工藤がそれぞれテーマに沿ってスピーチと対談を行った後、フロアとの質疑応答が行われました。
はじめに加藤氏は、今年9月の政権交代について、背景にイデオロギー対立を抱えていた「55年体制」がもはや時代に合わなくなり、「有権者の中で冷戦が終わった」にも関わらず、この歴史的な流れに乗り損ねてしまったことが自民党敗北の原因であったと語りました。また、この日のテーマである言論の自由については、「日本では集団心理が自由な言論を封じ込めてしまうことがある」と指摘する一方で、有権者が個々の政策について考えるようになってきているのではないかと述べ、「今後は議論によって政治が動いていくようなサイクルが生まれるだろう」と期待感を示しました。
次に発言した工藤はまず、8年前に、自身が勤めていた出版社を退職して言論NPOを立ち上げたという経緯に触れました。また、「NPOとしてマニフェスト評価を始めた当初に比べ、メディアの報道は政策重視に変わってきている」とする一方で、メディアが「中立性」という名のもとに傍観者的な議論に終始する傾向は本質的には変わっていないと述べ、変えるためには、市民ひとりひとりが政治や社会に対して当事者意識を持つようにならなければいけない、と主張しました。
その後行われた対談では、年金などの個別政策や二大政党制のあり方などがテーマとなりました。加藤氏は、今後の二大政党制の中で自民党が復権を果たすためには、「地域に根差した、55年体制以前の保守の原点」に立ち返る必要があると述べました。今回の政権交代については、加藤氏から「既得権益を切る契機となる」と肯定的な評価がなされたいっぽうで、工藤は「政権交代はチャンスでもあるが、日本の政党が未来を競わない限り、政党政治そのものに対する不信が広がるのではないか」と問題提起をし、「日本の政治が本当の変わるためには、市民が強くなり、強い民主主義を実現する努力を続けるしかない」と述べました。
また、フロアとの質疑応答も活発に行われ、「日本と中国との関係をどう見るか」や「活字メディアの今後」などに関して、会場から次々に質問や意見が投げかけられました。
文責:インターン河野智彦(東京大学)
11月18日、憲政記念館にて、「政治の転換期に言論の役割を問う」をテーマに、加藤紘一氏(衆議院議員)と言論NPO代表の工藤泰志との対談が行われました。これは、2006年8月に発生した加藤議員宅への放火事件をきっかけとして立ち上げられた「言論の自由を守る活動」が