「日本の知事に何が問われているのか」をテーマに、全国の知事にインタビューを続行中です。
現在の発言者は高橋北海道知事です。
◆第5話:6/4(月) 「北海道の道州制特区の成果を自己評価する」
◆第4話:6/3(日) 「道州制は北海道が成功しないと展開は難しい」
◆第3話:6/2(土) 「根強い官依存意識から脱することはできるか」
◆第2話:6/1(金) 「北海道の財政再建にどう目途をつけるか」
◆第1話:5/31(木) 「夕張は北海道では特殊な事例ではない」
第1話 夕張は北海道では特殊な事例ではない
かつては知事の方々は一国一城の主で、下から上がってきた案件について最終的な判断をするというようなことが役割だったようです。しかし、今はすっかり状況も変わってきて、まず各都道府県をめぐるいろいろな環境や状況の変化を、都道府県庁の職員の中で誰よりも早く直接的にキャッチする、それが知事に求められていることではないかと思います。
地域ごとの状況は激変しています。その変化をつかんだ上で、それぞれの知事が、自らの地域、私でいえば北海道ですが、そこにある資源をどう活用するかが問われています。一方で、北海道もそうですが、それぞれの地域には弱点がありますから、それを極小化しつつ、地域運営をやっていく。知事の役割を抽象的にいえば、こういうことになると思います。
特に、普通の人の視点に立って物事の変化を、まず自らが直観的に理解し、その中で何をすべきかについて、これも普通の人の視点で物事を考えて判断していくことだと思います。その場合の価値判断基準は、私の場合は、道民の生命、財産をいかに守っていくか、この地域の資源、資質を最大限生かして、日本一の地域にするためにどのように頑張っていくかということになります。
夕張市は再三、マスコミでも取り上げられましたように財政が破綻し、再建を進めているわけですが、道内にはその一歩手前の市町村がほかにもたくさんあります。特に、これは福岡県などとも共通することですが、旧産炭地域の問題も抱えています。かつては、地域資源として活用すべき主なものが石炭でした。それがもう今や競争力を失って輸入炭に代替され、メーンとなる地域資源がなくなった。そして、それに代わるものをなかなか見いだし得ないままにここまできています。
北海道の産炭地域は福岡県と違い、山あいに展開しています。特に、夕張を含んだ空知地域の産炭地は、炭鉱がなくなってしまうと、これに、替わるようなものはないという所がほとんどです。そうした地域では、財政や地域の運営をどうやっていくかは、誰がやっても大変な話です。その中での夕張市の破綻でした。
もちろん、市町村と都道府県との立場は違いますし、特に北海道は、面積でいえば全国の22県分入るだけの大変大きな面積ですから、市町村と比べられない面はあります。
北海道庁自身も財政を再建するために、私は今回の知事選での再選の前からも、行革には着手してきました。むしろ今回の選挙戦は、私が仕掛けてきたこの行革、ドラスティックさという意味では全国一かもしれませんが、それを道民がどのように判断してくれるか見極める意味もあったと思います。
その意味では、道民の方々は理解してくれたということです。高橋流の北海道庁における行革の方向性は、目標年限なり数値目標なりを含めて全部オープンにしてあり、それを粛々と進めることについて道民の信任が得られたということですから、それをさらに進める、できればさらに深掘りもしなければならない、それが私の課題でもあるわけです。
「日本の知事に何が問われているのか」をテーマに、全国の知事にインタビューを続行中です。
現在の発言者は高橋北海道知事です。