政治に向かいあう言論

「日本の知事に何が問われているのか」/古田岐阜県知事

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071028_gifu.jpg古田 肇(岐阜県知事)
ふるた・はじめ
1947年生まれ。71年東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。 JETROニューヨーク産業調査員、内閣総理大臣秘書官(羽田内閣、村山内閣)、経済産業省商務流通審議官、外務省経済協力局長などを経て、05年2月 岐阜県知事に就任。 昨年発覚した不正資金問題に対しては「県政再生プログラム」を実施し、県民の信頼回復に全力で取り組む一方で、「地域の元気づくり」「暮らしの安全づくり」を基本に据えた政策本位の県政を進めている。

第5話 危機管理に強い県庁を

 就任してから特に強く心がけているのは危機管理に強い県政づくりです。一昨年でいいますと、フェロシルト、三重県の石原産業がつくっていたリサイクル材です。リサイクル製品でいいものだ、三重県も認定したということで、各地で売った。私たちは、ある時期から、これは産業廃棄物ではないのだろうか、と疑い始めました。独自に調べて、環境省と激論して、最後、やっぱり産業廃棄物だということになって、岐阜県として速やかに石原産業に撤去命令を出すとともに同社を告発しました。昨年の不正資金の問題も、組織の危機管理の重大な問題として、真正面から向き合い、スピードと情報公開を旨として、これへの対応に努力しました。

 組織を見ていますと、いろいろなところでわけのわからないことが起こる。わけがわからないとか何か都合の悪いことが起こったら、小さなうちに芽をつんでおくことを徹底していきたいと思います。
 
 このため、昨年から、危機管理統括監というポストを知事直轄にして、時々、幹部会で危機管理の具体例を取り上げています。例えば、パロマの対応はどうだとか、瑞浪市のいじめ自殺事件の学校側の危機管理はどうだったとか、雪印乳業や三菱自動車はどうだったか等々。幹部会で、皆でケーススタディーをやっているわけです。あすは我が身、と思って。

 たった1回のミスでも行政に対する信用は台なしになってしまう、そういう意味で、都合の悪い情報は早く上げてくれと言っています。私は都合の悪い情報が迅速に報告されて来たときには、その内容如何にかかわらず、怒らないことにしています。

全6話はこちらから

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