「議論の力」で強い民主主義をつくり出す
続いて山本氏は、国際交流におけるご自身の活動を「知的交流」、シビル・ネット分野、政治家交流、国際保健システム強化への貢献の4つに分類し、各分野での経験を語られました。
知的交流分野では、1967年に日米の民間交流の場として開催された下田会議から始まり、70年代半ばから後半にかけて日米両国共同プロジェクト、アジア・欧州との交流活動、80年代以降は政府からの委嘱を受けたJCIE主導のプロジェクトへと、国際社会の変化とともに、活動にも顕著な変化が見られたと述べられました。そして、そうした変化の背景には、外交は官僚だけが担うものではなく、民間交流も同時に必要であると考えるようになった日本社会の変化がある一方で、昨今そうした機運が弱まっており、それは民間側が民間交流に対して消極的になりつつあるためではないか、と危機感を表明しました。
工藤泰志(言論NPO代表)は、資金力があるわけでもなく、必ずしも非営利団体の活動に直接的に関わるわけではないが、自分の仕事をしながら、可能な範囲で社会に貢献したいと考える人々も、非営利団体の活動に参加できる仕組みを非営利団体自身がつくりあげることができれば、そこから社会が変化する可能性があるのではないかと述べました。それに対し、参加者間で小額の個人寄付を広く集めるという方法、その可否や法制度上考慮すべき点などについて意見がかわされました。工藤は、個人寄付以外にも市民の参加を募る方法はあるのではないか、そして市民の一層の参加によって官とのパートナーシップをはかり、さらなる可能性を探ることもできるのではないかと述べました。
それに対し山本氏は、国際保健分野で、外務省や財務省その他省庁と連携して活動した自身の経験をふまえ、「垣根=セクターを越えた活動が必要になる局面で、カタリスト(まとめ役)の役割を果たせるのが民間団体ではないか」と応じました。
最後に田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)は、「民間団体がカタリストとしての役割を果たすためには、プロフェッショナリズムとともに、市民の支持が必要であり、そうした支持があってこそ市民の参加も生まれるだろう」と語り、フォーラムを締めくくりました。
言論NPOでは2009年、日本の市民社会をどう考えるかについて継続的に議論を行っていくことになりました。当フォーラムは今後も月に約1回のペースで開催していきます。その他にも政治家や有識者、NPO関係者などへのインタビューや座談会を行い、議論の内容は言論NPOのホームページ上やブックレットで公表していく予定です。
文責:インターン 石田由莉香(東京大学)
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また言論NPOの活動が「非政治性・非宗教性」を満たすものであることを示すため、米国IRS(内国歳入庁)作成のガイドラインに基づいて作成した「ネガティブチェックリスト」による客観的評価を行なっています。評価結果の詳細はこちらから。
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