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「非営利組織評価基準検討会」 報告

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2009年「第5回非営利組織評価基準検討会」 報告

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 9月15日、第5回目となる「非営利組織評価基準検討会」が都内で開催されました。

 言論NPO代表の工藤の他に田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授)、片山信彦氏(ワールド・ビジョン・ジャパン常務理事・事務局長)、加藤志保氏(チャイルドライン支援センター事務局長)、関尚士氏(シャンティ国際ボランティア会事務局長)、多田千尋氏(東京おもちゃ美術館長、日本グッド・トイ委員会代表)、堀江義彰氏(難民を助ける会事務局長)、峰岸和弘氏(スペシャルオリンピックス日本・東京事務局長)、山内直人氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)、山岡義典氏(日本NPOセンター代表理事)の10名が参加し、活発な議論が交わされました。

 この研究会は、日本の市民社会と望ましい非営利組織のあり方を検討するために立ち上げられたものであり、独自の評価基準を年度内に公表することを目的として議論が進められています。会の冒頭では、まず前回までの議論について確認がなされました。望ましいNPOの条件として「社会変革」「市民性」「組織の安定性」の3つを定めることについては、ほぼ合意が得られており、現在は、各条件についての主要テーマ(キーワード)、及び各テーマにかかる幾つかの構成要素をどのように設定すべきか、検討している段階にあります。このうち今回は「社会変革」の部分が議題となりました。


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 初めに田中氏より、社会変革の主要テーマを「アウトカム」とする暫定案が提示されました。その意味するところは、「課題の原因を根絶し、解決を図ること」であるとされています。また、それにかかる構成要素として、「課題認識」「戦略計画」「目標達成に向け、成果を出していること」「原因の根絶に向けた取組」などが提案され、これらを土台に議論を進めていくこととなりました。



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 片山氏、関氏、堀江氏からは、事業単位での成果を判断するのはたやすいが、団体の活動が社会変革をもたらしたかどうかを判断することは難しいとの指摘がありました。行政や国レベルまで広がる活動の重要性は意識しているが、実際にそこまで達することは多くない、との意見が見られました。



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 峰岸氏は、社会変革とまではいかないにせよ、知的障害者を受け入れる側の意識を少しずつ変えている感覚はある、と述べました。山岡氏も、フリースクールや自殺の電話相談などを例として挙げ、不登校や自殺などに対する人々の見方が変化していったことからもわかるように、「人々の意識や価値観の変化が、国の制度や企業行動などに広がっていくことがある」と語りました。



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 加藤氏は、社会変革にはいくつかのレベルやカテゴリが考えられることを指摘し、チャイルドラインが実現した子どもの電話の無料化や活動拠点の拡充などは「聞く文化」の形成という目的に向けたプロセスの第1ステージに過ぎないと述べました。



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 工藤は、言論NPOが毎年開催している「東京‐北京フォーラム」を例に挙げ、「2005年に日中関係が危機に瀕した時、民間外交によってその状況を打破することを目的に立ちあげたが、両国民の相互認識に大きなギャップがあるという新たな壁にぶつかってしまった。活動していくうちに、新たな課題が次々に見えてくることもある」と述べました。そのうえで、「大切なのは、何らかの社会的な課題を発見し、その解決のために向かっているかどうかということではないか」と指摘しました。これについては、重要なのは課題の解決や変革に向かうプロセスであり、その過程の中で活動の影響力や規模が大きくなっていくのではないかとの見解が示されました。

 田中氏は「目標設定によってアウトカムの指標も異なってくる。社会変革にはいくつかの段階、プロセスが存在するという今回のご指摘をもとに、次回は社会変革のキーワードと構成要素について、より議論を深めていくこととしたい」とまとめ、検討会を締めくくりました。

  言論NPOでは、今後も本検討会をはじめとする各種の議論を通じて、市民社会や非営利組織のあり方に関する問題提起を行い、ホームページなどで発信していく予定です。

インターン 楠本純(東京大学)

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