「民主主義を機能させる」ための取り組みに手応え ~インドネシア報告2~

2015年1月10日

 代表の工藤は、1月7日からインドネシアを訪問しています。

 最終日の9日、工藤は在インドネシア共和国の特命全権大使である谷崎泰明氏を訪問し、インドネシアの民主主義やシンクタンク情勢に関して意見交換を行いました。谷崎大使から、インドネシアが東南アジアで民主主義が最も進んでいる国であること、独裁政権から短期間で民主主義を根付かせ、混乱から安定的な社会へ移行したことから国際社会での評価も非常に高いこと。一方で、まだまだ民主主義の歴史が浅いため、独裁へ戻ってしまうのではないかという危機感から、逆に課題を乗り越えようとする力も強い、との指摘がなされました。こうした指摘を受けて工藤は、言論NPOがこれまで行ってきたデモクラシーを強く機能させるための取り組みに、インドネシアを巻き込んでいくことについて自信を深めました。

 その後、現地の国際交流基金を訪問し、以前から親交のある小川忠氏(同基金東南アジア総局長)と約3年ぶりに再会を果たし、民間外交の在り方や、日本とインドネシアの政治に対する参画についての意見交換を行いました。工藤から「インドネシアと日本は人口構成が異なり、インドネシアでは若者が多く活気がある。一方の日本では、急速に高齢化が進み、政治の在り方にも影響を当て得ているのではないか」との問いかけに、小川氏は「インドネシアでは、若い世代の中で政治においても積極的に関与したいとの強い意思が示されている。日本では東京オリンピック後を見据えて手を打っていく必要がある」との見解が示され、日本とインドネシアの若年層の政治への意識の違い、若い世代を政治にいかに巻き込みながら、長い目で見た日本の将来をどのように考えるのか、活発な意見交換がなされました。

 また、インドネシア外務省でバリ民主主義フォーラムや文化交流など、パブリックディプロマシーを担当しているAl Busyra Basnur氏 (Directorate General of Information andPublic Diplomacy)、アメリカ外交問題評議会が主催するシンクタンク会議(CoC)にインドネシアを代表して参加しているCSISの Philips Vermonte 氏(Head, Department of Politics and InternationalRelations)も訪問しました。Philips Vermonte 氏は、CSISが携わっているASEAN People's assemblyやASEAN Political-Security CommunityなどASEAN域内のマルチラテラルな取り組みに触れ、地域内でも市民社会の政策決定プロセスへの参加を主流化させていく動きを加速させるべき、などの意見が出されるなど、今後、東南アジアを巻き込んだ議論を行っていく上で、非常に示唆に富む有意義な会談となりました。


 工藤はインドネシアでの全ての日程を終え、CoCの地域会合に出席するため、インドに向かいます。インドでの活動報告は、随時ホームページで更新していきます。

 また、インドネシアでの全日程を振り返り、「『民主主義を機能させる』という問題意識を共有できたインドネシア訪問~インドネシア訪問を振り返って~」と題した工藤からの報告も公開しています。こちらも合わせてご覧ください。