3月18日、アジア戦略会議が開催されました。今回は、今年9月に予定されている「第4回 東京-北京フォーラム」でどのような議論形成を図るべきかを中心に、メンバー間で意見交換がなされました。
会議ではまず、言論NPOの代表工藤から、「東京-北京 フォーラム」に向けた現在の取り組みの進行状況や、先日発足した実行委員会の第1回会議で明らかになったいくつかの課題について説明がありました。代表工藤は、フォーラム当日の全体会議や分科会の「常設対話」「テーマ別対話」の進め方について説明した後、このアジア戦略会議こそがまさに「東京-北京 フォーラム」の母体になっていることを確認しました。
今回のフォーラムでは、分科会において「常設対話」として「政治対話」「アジア戦略」「メディア対話」の3つを言論NPOが中心となって行うことを計画しています。これに対して福川座長は、「政治対話」と「アジア戦略」とをきちんと区別すべきことを提案し、「アジア戦略」は日中の通貨問題や経済戦略を専門的に扱う場にしてはどうかと述べました。また、「メディア対話」はメディア関係者のみならず一般の人々も巻き込むようなかたちで、日中の相互理解や世論形成について議論する場にしていきたいと語りました。
フォーラムの分科会では「常設対話」の他に「テーマ別対話」として「環境」「観光(地方)」「マクロ経済運営」「食糧」についての議論を行うことが計画されています。その中でも「食糧」に関する議論をどう進めるか考えるうえで、代表工藤はこの問題を、単なる「食の安全」の問題としてだけではなく、食料自給率などに関連する「食の安全保障」の問題として議論したいと提案しました。とはいえ、日本では近年特に、「食の安全」への関心が高まっていることから、今回の会議でもこのテーマについて活発な議論が交わされました。いわゆる「冷凍ギョーザ事件」と一連の報道によって、日本の消費者の多くが中国製食品を買い渋るようになってきていることは、日中関係においては決して好ましい状況ではありません。ただ、メンバーからは「日本の消費者が中国製品に厳しい目を向けることで、逆に中国の衛生観が改善される可能性もある」との指摘もありました。「日中の政局がどう変わっても人間の基本的な欲求(例えば「食」)は変わらないので、それをベースにして長い目で議論を行うことができれば、必ず成果が出るだろう」との意見もありました。
これとの関連で、政治や経済のレベルだけでなく、「食」も含めた大衆文化などについても、「文化交流」として取り上げられるべきだという意見も出されました。
言論NPOでは、今回のアジア戦略会議で出された提案や意見をもとに、9月の「東京-北京 フォーラム」に向けた具体的な取り組みを進めていきたいと考えています。また、アジア戦略会議では、引き続き、アジアや世界の中での日本の将来選択に向けた議論をさらに発展させていくことにしています。
文責:高田玲子
今回の出席者は以下の方々でした。(敬称略)
福川 伸次
機械産業記念事業団会長 |
小島 明 日本経済研究センター会長 |
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篠沢 恭助 財団法人資本市場研究会理事長 |
進 和久 ANA総合研究所顧問 |
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横山 隆 三井物産株式会社 |
松田 学 財務省(東京医科歯科大学教授) |
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工藤 泰志 認定NPO法人 言論NPO代表 |
3月18日、アジア戦略会議が開催されました。今回は、今年9月に予定されている「第4回 東京-北京フォーラム」でどのような議論形成を図るべきかを中心に、メンバー間で意見交換がなされました。