非公開の第2セッションに続いて、「日韓関係に未来はあるのか」をテーマに公開円卓会議を行い、一般からの参加者約200人が聴衆として議論を見守りました。
まず言論NPO代表の工藤が(1)韓国は歴史問題がどういう形になれば解決したと考えるのか、また日本はこの状況をどう改善したいと思っているのか、(2)日本に対する軍国主義のイメージは何に起因し、日本はそのような見方をされてどう考えるのか、(3)日韓双方は両国の将来像をどう描いているのか、と日韓両国のパネリストに問題を提起しました。
これに対し、川口順子氏は「歴史問題の解決が先だという考え方が韓国側に多いが、歴史、竹島の問題が日韓関係の大局に影響してはいけない。未来の目標を共有し、それぞれ並立して議論を深めていくべきだ」と両国の冷静な対応に期待しました。
歴史問題について、ソウル支局長を務めた箱田哲也・朝日新聞論説委員は「韓国にいると、日本は謝罪していないということを何度も言われるし、メディアもそういう問題があるたびに日本は謝罪をしないという。しかし、あくまで日本政府としては、95年の村山談話を踏襲し、98年の未来志向のパートナーシップ宣言が非常に大きかったと思う。いろんな政治家がいろんなことを言うわけだが、韓国も冷静に見ていただきたい。今や韓国もサムソンをはじめとして非常に立派な国になったわけだから、日本に対しても対日太陽政策をとってもいいのではないかと思う」とユーモアを込めて語りました。
これについて、李淑鐘・東アジア研究院院長は「日韓に未来はあるか、という論点に問題があって、それは次世代が考えることである。日本には(歴史問題について)謝罪をどれだけすれば解決するのだ、という考え方があるが、謝罪があったにもかかわらず、暴言的な発言がその後も続いている。従軍慰安婦問題は政府レベルの解決が必要であり、多くの韓国人が納得できるようにしてもらいたい。領土問題には言及せずに、歴史問題の緩和は可能だ」と韓国の立場を説明しました。
続いて、孫洌・延世大学国際学大学院院長は「歴史問題が解決すれば日韓はうまくいくのか。歴史問題を排除しても日韓関係で対立は残ると思う。FTA問題など他の分野でも誤解を生むようになっている。日本の軍国主義のイメージは、憲法改正、軍事費増強で、過去の植民地政策を再現するのでは、という危惧が韓国内にあるからだ」と強調しました。
これを受けて、伊藤信太郎・元外務副大臣は「靖国参拝の行為は軍国主義と認識されるが、本人の意識はそうではない。各国、歴史観がある。戦前、命を落とした人を弔う個人の自由がある」と話すと、韓国側から「戦前の魂について、日本の文化だと言われたのはわかるが、A級戦犯と一緒に参拝して、すべてを水に流せるか、私たちは抵抗を感じる。両者を分けて考えるべきだ」との反論がなされました。
その後も、日韓それぞれのパネリストから意見が出され、また、会場からの質問なども積極的に取り入れるなど、会場参加者と双方向の議論を交えながら日韓両国の課題について議論がなされました。
最後に日本側座長の小倉和夫氏が「過去を克服してこそ未来はあると思うが、未来を考え、一緒に議論しなければ意味がない。コミュニケーションを断絶することはよくなく、今日のようにコミュニケーションを取り、外交遮断するのは反省するべきである。そこだけは日韓で合意すべきだ」と結び、「第1回日韓未来対話」を締めくくりました。
言論NPOと東アジア研究院は、今回の第1回目の対話を皮切りに、日本と韓国の有識者が継続的に議論する舞台として「日韓未来対話」毎年開催していきます。
非公開の第2セッションに続いて、「日韓関係に未来はあるのか」をテーマに公開円卓会議を行い、一般からの参加者約200人が聴衆として議論を見守りました。