「議論の力」で強い民主主義をつくり出す
言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2015年7月15日から1日間の期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった111人の回答内容を分析した。
※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。
ユーロ圏首脳会議は7月13日、財政危機に直面するギリシャとの金融支援交渉の再開について、ギリシャが財政緊縮策を法制化することを条件として合意しました。これを受けてギリシャ政府は翌14日、財政改革法案を議会に提出しました(現地時間の16日未明(日本時間午前)には議会で法政案が可決されました)。
法制化が実現した場合、ギリシャの財政再建が進むかを尋ねたところ、「過去2回、支援を受けながら進まなかったので、今回も進まないと思う」との回答が48.3%となり、ギリシャの財政緊縮策に否定的な意見が最多となりました。しかし、「現時点では判断できない」との回答も44.0%と半数近くおり、判断を決めかねている有識者が多いことも分かります。
一方、「着実に進むと思う」との回答は6.9%にすぎませんでした。
今回、ギリシャの財政破綻が目前まで迫るほど、危機的な状況に陥りました。こうした状況に対して、債権者側、ギリシャ側のどちらに責任があるかを尋ねました。
半数近くの人が、「どちらにも同程度責任がある」(50.0%)と回答し、「緊縮を放棄していたギリシャ側」(42.2%)との回答が続くなど、9割近くの人がギリシャに責任があると回答しています。一方、「ギリシャに対して厳しい態度で臨んでいるEUやIMF、ECBなどの債権者側」だけが悪いとの回答は6.0%にとどまっています。
ギリシャのチプラス首相は6月27日、EUが求めている財政緊縮案を受け入れるかどうかを問う国民投票の実施を唐突に表明し、7月5日に実施しました。こうしたチプラス首相のこの政治姿勢についてどのように評価しているかを尋ねたところ、半数を超える人が「無責任だと思う」(50.9%)と回答し、「妥当だと思う」(21.6%)を大きく上回りました。
今後のEUの将来について尋ねたところ、「現状のまま変わらない」(30.2%)との回答が最多となったものの、「現時点では判断できない」(29.3%)、「現状よりも規模がやや縮小する」(28.4%)との3つの回答が拮抗しています。一方、「政治や財政の統合が進む、より強い共同体になる」(7.8%)、「離脱国が相次ぎ、瓦解する」(4.3%)と両極端の回答は少数となり、有識者の中でもEUの将来については、意見が分かれる結果となりました。
最後に、今回のギリシャの問題が、日本経済に及ぼす影響について尋ねたところ、影響があると回答した人は49.2%(「大きな影響がある」(7.8%)、「やや影響がある」(41.4%))に上る一方、影響はないと回答した人は46.6%(「全く影響はない」(2.6%)、「あまり影響はない」(44.0%))となり、日本経済への影響についても有識者の間では、意見が分かれています。
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