7月25日、都内ホテルで「第8回 東京-北京フォーラム」の実行委員会が開催されました。実行委員長の明石康氏(国際文化会館理事長)、副実行委員長の武藤敏郎氏(大和総研理事長)、宮本雄二氏(前駐日特命全権大使)を始め、実行委員・パネリスト・オブザーバーなど、約30名が参加し、7月1日~3日の日程で開催されたフォーラムの総括と来年のフォーラムに向けた意見交換が行われました。
冒頭、実行委員長の明石氏は「今回の世論調査からも明らかなように、日中両国の関係は悪化している中でのフォーラム開催となり、どのような議論になるのか心配していたが、皆さんの尽力で成功裏に終わったと思う。また、メディアでもバランスの取れた形で取り上げてもらったのではないか。ただ、今後取り組まなければならない課題もあるので、ご意見をお聞かせいただきたい」と挨拶しました。
続いて、フォーラムの運営委員長である工藤は、「今年は、このフォーラムが立ち上がった2005年当時と同じぐらい、日中関係が危機に陥っている中での開催となった。しかし、日中両国のパネリストの間に、国民感情が悪化している中で、軍事衝突をどのように防げばいいのか、という共通の認識ができていた。安全保障対話においても、頭を冷やして知恵を出し合っていこう、という冷静な議論ができ、今回のフォーラムの成功につながった」と総括しました。一方で、今回のフォーラムで採択された東京コンセンサスにのっとり、今後、日本側の実行委員会にワーキンググループをつくって定期的な議論をすると同時に、中国側との議論も定期的に行い、日中間に横たわる障害を乗り越えるための共同研究を進めていくための準備を進める、と今後の方針を改めて示しました。
その後、参加者との意見交換が行われました。とりわけ経済対話では、「中国の都市化が進み、社会保障や教育、住宅問題、また格差問題などが顕著になる中で、日本の高度成長期を乗り越えた経験を教えて欲しい、との率直な意見交換ができた」(武藤敏郎氏)、「中国国内で抱えている問題に対して率直に認識していて、日本からの教訓を学びたいという姿勢があり、未来志向で、課題を絞り込んで、解決に向けて行おうとしていた」(小島明氏(日本経済研究センター研究参与))など、日中間でかなり踏み込んだ、率直な意見交換が行われたことが報告されました。
一方で、今後の議論の仕方について、小倉和夫氏(国際交流基金顧問)からは、「日中それぞれの専門家同士が議論する分科会方式ではなく、あるテーマについて安全保障や経済など様々な分野の専門家が参加し、議論することが必要ではないか」との指摘がなされました。
また、宮本氏からは「安全保障の対話では中国側の情報開示が不十分であるとの指摘をするもものの、中国側から納得する回答を得られない。そういう点では、非公開で専門家同士が議論する場を設ける必要がある」との指摘がなされるなど、来年のフォーラムに向けた積極的な意見交換がなされました。
これらの意見交換を受けて明石氏は、参加者の方から多岐にわたって具体的で前向きな提言に対して御礼を述べるとともに、「年1回のフォーラムだけではなく、ワーキンググループを設けて定期的に議論していくことは必要だ」と述べ、来年のフォーラムに向けた意気込みを示しました。
今回の「東京-北京フォーラム」で議論された内容は、公式サイトで公開している他、9月末には議論の全容を掲載した「第8回 東京-北京フォーラム報告書」を発売する予定です。今後のフォーラムの進捗については、随時、言論NPOのホームページに掲載していきます。
7月25日、都内ホテルで「第8回 東京-北京フォーラム」の実行委員会が開催されました。実行委員長の明石康氏(国際文化会館理事長)、副実行委員長の武藤敏郎氏(大和総研理事長)、宮本雄二氏(前駐日特命全権大使)を始め、実行委員・パネリスト・オブザーバーなど、約30名が参加し、7月1日~3日の日程で開催されたフォーラムの総括と来年のフォーラムに向けた意見交換が行われました。