7月1日(水)、都内ホテルにて、石破茂地方創生担当大臣をゲストスピーカーに、「地方の課題解決と日本の将来」と題して、言論NPOの「モーニング・フォーラム」を開催しました。
冒頭のあいさつで石破大臣は、本フォーラム前日の6月30日に閣議決定された地方創生の基本方針に触れつつ、「このまま人口が減り始め、現在の団塊の世代がいなくなると、人口は一気に減少していく。これは国民がいなければ主権が成り立たなくなるという点で、『静かな有事』である。有事は今までになかった取り組みを行わないと解決できない」と述べました。その上で、「今後人口が減少していくということ自体は避けることができないため、コンパクトシティやコンパクトビレッジを作る取り組みを進めていかなければならない」と指摘し、地域の『産官学金労言 (注1)』が連携し、住民も巻き込む形で5年間の地域の総合戦略をつくりPDCAサイクルを回していくことが重要だと語りました。
さらに「この地方創生の取り組みを今やり損ねるわけにはいかない。まさに人口減少や地方の衰退という問題を解決するのは、我々がまだ見ない将来に対する責任を果たすことである」と強調しました。
その後、工藤との対談に移り、地方の医療や教育、さらに地方創生との関係での省庁再編について質問を投げかけるなどの意見交換が行われました。最後に、工藤が「あるべき日本の将来の姿をどうイメージしているのか」と問いかけると、石破大臣は「地方で行えることはできるだけ地方で行い、国家は外交防衛、財政、通貨、教育の問題に専念するべきである。確かに自治体にまたがる問題の対応などの課題があるのは事実だが、地方分権という姿が望ましいと考えている」と述べ、大臣自身が考える将来像を語りました。
対談後は、参加者から海外の地方創生の取り組みの例を挙げた上で、「県や市という小さい概念でなく、もっと広い広域圏の構築、すなわち地方創生政策を実行する上での経済圏構想的な考えはあるか」、また「自治体の取り組みの中に良い例があったとしても、それをどのように進めていくべきかわからないという事態に陥ることが多い。例えば成功自治体から各自治体に対して伝道師を派遣して、そのような取り組みを広めていく。そして、そのような動きを国が支援していくべき」などの意見が出され、活発な意見交換がなされました。
最後に工藤は、「誰かに任せるのではなく、一人ひとりがそれぞれの地域の未来を考えて行動していく必要がある。そして、そのことがデモクラシーを再起させるきっかけの一つになるのではないかと期待している」述べたことに対し、石破大臣も「持続的な国づくりを行っていけるかどうかは、有権者の判断にかかっている」と総括して、モーニング・フォーラムを締めくくりました。
注1)産...産業界、官...役所、学...地方大学や高等学校、金...地方銀行や信用金庫、労...労働組合、言...言論界
※モーニング・フォーラムは、言論NPO会員、および会員からご紹介いただいた方のみの限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。
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