4月6日(水)、言論NPOは東京都内のホテルにて、髙木毅・復興大臣をゲストスピーカーにお迎えして「東日本大震災から5年、復興の現状と課題」と題してモーニング・フォーラムを開催しました。
まず、冒頭に行われた講演で髙木大臣は、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの5年間を振り返り、インフラ整備はある程度整ったものの、未だに避難民が17万人存在しており、こうした避難民の方々の心身のケアの必要性や、仕事を創出していくための産業の育成など、ハードからソフトへの支援へ転換を進めていくことの必要性を指摘しました。加えて、本当の復興を成し遂げるためには、被災者がコミュニテを設計し、生活していくことができるような基盤を作っていくことが重要だと語りました。
一方で、福島の復興について髙木氏は、福島第一原発事故後の風評被害に言及し、国内でもまだ福島のものは買わないという風潮があることを指摘し、「福島産のものは検査しており、市場に出ているものは安全である」と述べ、また、原発湾外で海の放射線量についてもIAEAの検査ではWHOの基準よりも下で安全であると強調しました。さらに、髙木氏は、「国際的にもこれから廃炉の時代が来る」と述べ、福島第一原発の廃炉に伴う技術の蓄積を行い、「『フクシマ』が将来的には廃炉の技術の代名詞となるようにしたい」と今後の福島の復興に関して意気込みを語りました。
最後に、髙木氏は「復興は今後も安倍政権の最重要課題」だと強調し、「2020年のオリンピッでは、聖火を東北に走らせたい」と語ると同時に、「東北を地方創生のモデルにしたい」本当の意味での復興の実現に向けて強い決意を表明しました。
その後、工藤との対談に移りました。ここでは「生活ができるような基盤をつくり、現在の避難民17万人が安心してテレビでオリンピックを見るために、福島の復興を含めて、残り5年で具体的に復興をどのように進めるのか」「復興庁は指導力を発揮できているのか」「今夏の選挙において、復興に関する公約として、国民に何を示すのか」など多岐にわたるテーマで活発な議論が交わされました。
また、その後行われた参加者との質疑応答では、「宿泊を含む観光戦略をどう描いていくのか」「被災者が本当の意味で自立してもらうためには、支援をどこかで打ち切ることも視野に入れるべきではないか」など掘り下げた議論も交わされるなど、盛況のうちに本フォーラムは終了しました。
※モーニング・フォーラムは、言論NPO会員、および会員からご紹介いただいた方のみの限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。
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