言論NPOは23日、都内のホテルで世耕弘成・経済産業大臣をゲストスピ―カ―にお迎えし、「自由貿易の現状と日本の果たす役割」をテーマにモーニング・フォーラムを開催しました。
まず、世耕氏は、米国が抜けたTPPを日本がリードし、悲観的だったベトナムやマレーシアなど他国を説得してTPP11をまとめたこと、日EUのEPAも合意に至ったことから、RCEPの年内合意に向けた勢いは高まっていると、RCEP合意に向けた意気込みを語りました。
孤立させてはいけない米国
また、世耕氏は、米国を中心にした保護主義に対抗するように、マルチの自由貿易の枠組みを伸ばしていく一方、日本のもう一つの使命は、米国を孤立させないために「米国を説得すること」だと世耕氏は語ります。
さらに世耕氏は、インターネット上の電子商取引きやデジタルデータのフローでも深刻な問題が発生している、と指摘します。例えば、中国では、デジタルの自由なルールが通じず、アリババなど特定の企業に個人情報を自由に扱わせ、独占的なビジネスの展開を認めているため、顔認証、AI解析、自動運転などの技術が上がり、余ったお金を米国のシリコンバレーに投入し、日米欧の技術を買い取っていくとの見解を示します。そして、こうした事態に日米で連携して対処しなければ、本質的に米国の赤字は解消しないだろう、と米国に迫っていると語ります。
最後に、昨年12月、日米欧三極貿易大臣会合の枠組みを立ち上げて、対中問題を話し合ったのはこうした危機感の現われで、「一部、効果が出ている」と語る世耕氏。米国を巻き込んで問題の本質はなんであるか、米国に分からせる努力が重要、との認識を示しました。「安倍首相の言うことなら聞くトランプ大統領」で、米国の態度は変わるのかどうか。「今後の山場は、9月の日米首脳会談」と語り、9月の攻防戦を予測していました。
その後、参加者との間で質疑応答が行われるなど、活発な意見交換があり、盛況のうちにフォーラムは終了しました。
※モーニング・フォーラムは、言論NPOメンバーを中心にした限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。