言論NPOの「第28回モーニング・フォーラム」は27日、都内のホテルで開かれ、自由民主党総務会長の加藤勝信氏が、「日本の十年後をどう設計するか」をテーマに講演しました。
まず、言論NPO代表の工藤泰志は、貿易摩擦の米中対立を抱える国際社会で生きていかねばならない日本は、その立ち位置が問われる重要な時であり、リベラルな秩序と多国間主義と平和、民主主義を貫いていくべき、と挨拶。日本の世論が政治から離れてきている現状に危機感を持っている工藤は、政治家に期待するだけでなく、私たち有権者もその責任を果たさなければいけない、と日本の民主主義の立て直しを訴えました。では、これからの日本を背負っていく政治家は、その将来の課題にどう向かい合っていこうとしているのでしょうか。
自民党への支持率は、若年層が高齢層を上回る傾向に逆転した
加藤総務会長は、2012年に「日本を取り戻す」をスローガンに自民党が与党に返り咲いて以来、デフレからの脱却、経済再生を図り、大胆な金融政策と機動的な財政政策を進めてきた実績を語りました。その結果、完全失業率と有効求人倍率の雇用情勢は着実に改善し、「景気回復局面がこの2月も続いていたとするならば、安倍政権がスタートしてから戦後最長期間の75ヶ月連続となる。各地域の景況感でも、"ずっと悪い"との声が多かった北海道、四国を含め、全ての地域で"良い"と言う人が多かった」と加藤氏は指摘します。
内閣支持率はこのところ50%前後で推移していますが、年代別に見ると、これまでは若い人が低く、年配になるほど支持率が高かったのが、今では逆の傾向になり、18~29歳の支持率が6割を越え、60~70歳以上では4割から5割で推移している結果を踏まえ、「経済などの状態を反映して、雇用、リクルートといったところの状況が若年層の支持率の高さに繋がっているのではないか」と語る加藤氏でした。
中長期的な大きな課題は、少子高齢化と人口減少
中長期的な大きな課題としては、少子高齢化・人口減少への対応があります。いわゆる団塊の世代が75歳を超えるのが2025年、団塊ジュニア世代が65歳になるのが2045年で、こうした大きな塊が社会保障にもたらす影響は計り知れません。加藤氏は、「今の人たちの活力を高め、明るい展望を切り開いていく中で、それが若い人たちの結婚、より多くの子供を持とうとすることにつながっていけば、中長期的にも経済の回復基調に好影響を与えていくのではないか」と近い将来への動きに期待するのでした。
さらに加藤氏は、「子育てしながら働けるよう、また介護があっても働き続けられる環境をつくっていくために必要な財政基盤をより強固にし、働き手確保から成長への好循環を生んでいく。さらには、働き方が大きな課題で、長時間労働の是正、正規非正規の問題、同一労働同一賃金を通じた非正規雇用の処遇改善をテーマにした働き方改革実行計画を打ち上げ、大企業ではこの4月から施行される」と強調。「"資本、労働、生産性"」の3つの要素にしっかり投資を進め、潜在成長力を引き上げていく」と抱負を述べました。
その後、出席者との質疑応答が行われ、盛況のうちにモーニング・フォーラムは終了しました。
※モーニング・フォーラムは、言論NPOメンバーを中心にした限定イベントです。各界からゲストスピーカーをお招きして開催します。