脇若英治(クリントン財団気候変動ヨーロッパ担当)
【その他】
本件について海外にいる者の一人として意見を述べさせていただきます。
昨日4月17日、イギリス人を中心とするお花見に招待され、日本の被災者のことを気にかけながらも、楽しい午後のひと時を過ごしてきました。そこで、イギリス人がこんなことを言いました。
津波のスピードはものすごいので、地元の消防団員が、早く車で逃げなさいと、声をからして叫んでいるのに、赤信号を無視しない日本人てなんなんだろうと。合理性を尊ぶ、西洋人にはとてもわからないのだと思いますが、いろいろ、震災(津波、放射能の問題も含む)について考えると、何(What)をすべきか、の議論が今盛んですが、どうやって(How)目的を達成するのかという議論はあまりないように感じます。もっとも、救済、救助という状況の下、復旧、復興にはまだ手が届いていないということにもよりますが、どのように、地方、中央の公務員をもっと効率的に動かし、どういった形で規制を柔軟に解釈して、復興、新興のプロセスに動かすことができるか、その中で我々市民は、何ができるのかという視点の議論が重要だと思います。
おそらく、未来志向の、新しい町、村づくりをする、といったWhatのアイデアはいっぱいあると思いますし、今後も、その議論は政府を中心になされるでしょうが、そのアイデアをどのように実現するか(How)という視点が欠落するのではないか、と今から危惧します。そこに必要なのは、使い古された言葉ですが、一人ひとりのリーダーシップです。今回の災害で、日本全体が、一つになろうとしています。そんな中で、一人ひとりに要求されるのは、共感からおこる行動です。NPOもそこに早く活動の中心をもっていかないと、議論だけをして、批評家で終わってしまうNPOになるリスクをはらんでいます。民主党とか、菅首相とか、東京電力を批判することも重要ですが、今必要なのは、それぞれの行動でしょう。そのために、政府は、まずVisionを鮮明にすることが重要なことは言を待ちません。
そんなとき、みんなをさらに、引っ張っていくのは、英語でいう、Early Winを作ることです。 クールビズを1カ月早めるというアイデアなどはいい例ですし、サマータイムの導入とか、救助隊や復興隊に、職のない若者に入ってもらうのもすぐにでも出来る具体案でしょう。また時間はかかりますが、道州制とか首都移転も本格的にやるいい機会です。世界が、今は、希望的に、支援の意味を込めて、日本はきっと立ち直ると言ってくれていますが、「おお、日本も本当にやるな」と思わせることも重要です。自粛している時ではありません。