「第3回エクセレントNPO大賞」審査概要

2014年12月09日

「エクセレントNPO大賞」審査委員会


1. エクセレントNPO大賞とは

 1998年のNPO法制定以来NPO法人数は4.9万団体を超えましたが、社会の自発的な課題解決に取り組む以前に、その大多数は経営的に力が乏しく、市民とのつながりが弱く、市民社会を大きく変える力には未だになっていません。

 「『エクセレント NPO』をめざそう市民会議」(以下「市民会議」) では、こうした非営利組織の組織力としての脆弱性や市民とのつながりが希薄である点に当初から問題意識を持ち、その質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会への良循環をつくり出すために、非営利の世界での社会変革のモデルとなるNPOの要因分析を続けてきました。そして、3年間にわたる作業の末、2010年には望ましい非営利組織像としての「エクセレントNPO」の概念を打ち出し、「市民性」「課題解決力」「組織安定性」の3つを基本条件とする、組織評価の体系としての「エクセレント NPO」の評価基準を公開し、その普及活動に取り組んできました。本大賞の表彰は、そうした「エクセレント NPO」を目標にして非営利組織が競い合い、その動きが市民に可視化されることで、市民社会に大きな変化を起こすことを目指しています。


2. 「エクセレントNPO大賞」の実施状況

(1)賞について

  「エクセレントNPO」大賞は、「市民賞」「課題解決力賞」「組織力賞」から構成されています。これは「エクセレントNPO」評価基準の3つの基本条件をもとに作られたものです。そしてこの3つの賞の受賞者から最も優れている組織を「エクセレントNPO大賞」受賞団体として選びます。
  

(2)応募方法

  応募者には、エクセレントNPO評価基準の16基準に基づいて自己評価を行い、その他の応募書類とともに提出していただきました。

(3)応募期間

  2014年8月21日より応募を開始しました。10月17日を締め切りとました。

(4)応募結果

  応募総数は106件でした。今年は、応募の時点で各団体にどの賞に応募するか、自己申告制にいたしました。その結果、市民賞に23団体、課題解決力賞に73団体、組織力賞に10団体の応募がありました。


2. 審査の方法

 昨年と同様に、予備審査と3度にわたり本審査が開催され、全部で6工程に及ぶきめ細やかな審査が行われました。


2-1 予備審査

 予備審査では、応募書類が揃っているか、自己評価が適切に行われているか、事業報告書や会計報告書、役員リストなどがホームページ上に公開されているかを確認し、各賞において足切りを行いました。

2-2 本審査 

 審査委員会は3回開催されました。第1次委員会では審査の方針、各部門賞の審査基準についての確認を行った上で、各部門(市民賞、課題解決力賞、組織力賞)の担当を決めました。その後、審査委員は予備審査を通過した応募団体について、それぞれ担当分について所定の評価フォーマットに基づき書類審査を実施しノミネート候補を提出しました。
第2次審査委員会では、各審査委員が提出したノミネート候補団体を評価結果に基づき審議し、各部門のノミネートを15団体決定しました。そして、審査委員はノミネートされた15団体について、全員で再度書類審査を実施しました。

 第3次審査委員会では、各審査委員が行った15団体の審査結果に基づき、市民賞、課題解決力賞、組織力賞の団体を選出しました。さらに、これらの受賞団体から、「エクセレントNPO大賞」を決定しました。

 審査は、「エクセレントNPO基準」に基づき行われましたが、次の点については、今後の審査のあり方にも関わることなので、ご紹介しておきたいと思います。

 第1に、自己評価の適切性についてです。「エクセレントNPO大賞」は、その目的を自己評価の普及と質向上に向けて努力している団体の「見える化」の2つを掲げています。したがって、本評価基準に基づきどこまで自らの現状を客観視し、長所と課題を適切に見出そうとしているかが議論になり、この点が選考に当たり、重視されました。このような視点はこの大賞の審査では今後ともに重視されるだろうと思います。

 第2に、第3次審査では、ノミネート団体の審査希望ジャンルにこだわらず適切な評価・審査ができるようにとの配慮の下に審査が進められ、結果的にはノミネートされた15団体は、市民賞5、課題解決力賞4、組織力賞6という構成になりました。応募団体のジャンル選択に大きな偏りもあり、審査開始の当初から、希望を尊重しながらも各賞は、それにふさわしい団体を選びたいとの審査委員会の了解に基づいてのことです。この方式では、それぞれ応募するジャンルで何をアピールするのかを明確に自己評価書に書くことが必要ではないかと思います。そうした情報をどのようにすれば引き出せるのかは、審査基準の課題でもあると考えています。