田中弥生(言論NPO理事)
エクセレントNPOとは
田中:エクセレントNPOとは何かということなのですが、これは私たちが約一年近くかけて、ようやくたどり着いた定義です。申し上げると、「自らの使命のもとに社会の課題に挑み、広く市民の参加を得て、課題解決に向けて成果を出していること。また、そのために必要な責任ある活動母体として、一定の組織安定性と刷新性を維持している組織」。これが定義なのですが、よくよく聞いてみると当たり前ではないかというふうに言われるのですが、この当たり前のことがいまなかなか出来ない、出来ていないというのが課題だと思います。
エクセレントNPOの狙い
「エクセレントNPO」という名前がようやく定着してきたと思うのですが、そもそもこれを作ったのは数年前。私たち研究者と工藤さんも含む実務者の方たちと議論をしました。そのときに、本来であれば市民参加をしたいと思っている色んな人たちの受け皿になるべきなのに、どんどん一般の人たちとNPO・NGOの人たちが離れてしまっているのではないかという問題意識から始まりました。
その課題に応えるために、三つの大きな基準を作りました。それの1つが市民性であり、課題解決力であり、そしてその課題解決するための最低限の組織基盤を持っているかどうかという組織力。この三つの基準を作って目指すべき組織像というものを形にして表そうということなりました。これがエクセレントNPO基準だったのですが、ここから先、もっとプロアクティブに動いていこうということで、これを運動体にしました。この一環として、優れた、エクセレントNPOを見える化をしようということで、表彰を始めたということであります。
今年の課題を申し上げれば、先ほど申し上げた市民との距離というのは残念ながら縮まっていません。のみならず、震災復興関係でかなりの公的資金がこのセクターに入りましたけども、不祥事の問題が出てきて、これが信頼を損ないかねないというふうに考えています。ですから、今年もエクセレントNPOとして目指すべきもの、あるいは、何がモデルになるのかということについて訴えていく必要があると思っています。
第2回エクセレントNPO大賞のポイント
今年の大賞なのですが、私は二つポイントを上げておきたいと思います。一つは、20代のみならず、10代ぐらいから社会課題に自分も取り組みたいという人たちがどんどん増えています。そういう意味で、若い人たち、完璧ではなくても良いのだけども、市民性、市民参加をベースに課題解決に挑んでいるキラリと光るような若い団体にどんどん応募してほしいと思います。それからある程度年輪を重ねてきた団体については、まさに自分たちが組織の課題をどこに感じているのか、それをこの自己評価書できちんと分析して頂いて、それをうまく抽出して頂いて、自分たちの組織にチャレンジをするという意味で、ぜひ応募して頂きたいと思っています。
ですから、これを一つの目安にしてそこにチャレンジしてもらう。そこに向かっていること、完璧ではなくて、前進していること自体、私たちはエクセレントNPOとして賞賛したいと思っています。
昨年は、エクセレントNPO大賞はなかったのですが、今年はぜひエクセレントNPO大賞が生まれてほしいなと思っています。