3月31日、代表工藤は、広島市の広島国際会議場で行われた広島県が主催する「NPOシンポジウム」で基調講演を行い、「ちょっとした勇気で市民も時代を動かせる。政府や行政に頼るのではなく、市民が当事者意識を持って広島や日本の未来のために取り組もう」と述べ、「そうした市民の動きを支えるNPOが広島県から育ってほしい」と訴えました。広島県が県内のNPO活動の活性化を図るために主催したこのシンポジウムでは、講演に先立って県内で活動する優秀なNPO団体の表彰が行われ、湯崎広島県知事や県内のNPO関係者など200人が出席し、地元のメディアも駆けつけました。
基調講演の中でまず工藤は、10年前に言論NPOを設立した経緯と「4つの言論」の活動について紹介しながら、「市民が自分で政治を選ぶための判断材料の提供、さらに市民が自発的に課題解決に挑むことを目標に、非営利で真剣な議論ができる論壇づくりに取り組んできた」と述べました。
次に工藤は、この10年間非営利で取り組んできた「東京-北京フォーラム」の民間外交の活動の例にふれながら、「たった1人の民間人でも少しの勇気と行動があれば外交さえも動かすことができる」と話しました。また、先日米国外交問題評議会が設立した世界19か国のシンクタンクを集めた国際会議カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)の日本代表として言論NPOが選出された例も挙げながら、「世界では市民の声が強まる一方で政府や国際機関の限界が見えてきており、非営利組織が社会の課題解決を主導するべきだという意見が強い。翻って日本の非営利組織を考えた場合、未だに行政依存、市民視点の欠けた団体が多く、NPOは今一度市民社会での役割やその存在意義を問い直すべきであろう」と問題を提起しました。
その上で工藤は、日本の非営利組織が抱える課題や問題点を元に2010年に作成した「エクセレントNPO」の評価基準について3つの基本条件と33の評価項目について説明を行いました。工藤は「昨年の東日本大震災の際もボランティアを受け入れないNPOが多く存在したなど、市民から距離を置いた団体が多い。強い市民社会を築くには市民の目線で課題に取り組むNPOが必要であり、非営利組織が市民の受け皿として機能し、社会の課題に向かって切磋琢磨できる環境が必要だ。エクセレントなNPOを目指す良循環を市民社会に起こしたいと考えている」と話し、加えて「NPOへの期待は高まっている一方で、市民からの十分な信頼を得ていない現状を真摯に受け止めるべき」と指摘しました。
そして工藤は「広島は『平和』や『核廃絶』という世界に発信できるテーマがある。NPOがもっと市民目線に立ち、地域の課題に協同して取り組みながら、グローバルにメッセージを発するNPOが誕生することに期待する。言論NPOもそうした動きと一緒に連携していきたい」と伝え締めくくりました。
言論NPOは今後も地方のNPOと直接対話を行いながら、非営利組織が市民社会の受け皿として機能し、目に見える変化を起こすために努めていきたいと考えています。是非今後の活動をご覧ください。