代表工藤は東京都千代田区の法政大学で9月18日、行われた東日本大震災におけるNPOの活動の総括を行う「震災特別フォーラム」(主催:日本NPO学会)の2つのセッションのコーディネーターなどとして参加し、「NPOが被災地の課題解決やボランティアの受け皿として十分機能しているかは、NPOの原点に立ち返って問い直し、これからのNPOの発展に活かすべき」と強調しました。
まず、フォーラムのオープンセッションでは、工藤は司会として、上昌広氏(東京大学医科学研究所特任教授)と元内科医で参議院議員の梅村聡氏と議論を行いました。上氏と梅村氏からは、震災後の1週間に被災地の人工透析患者を救うため、医師同士のネットワークを活用しながら、規制や行政の壁などさまざまな障害を乗り越え、関東の病院に搬送した例が紹介されました。その中で工藤は、「NPOが被災地に入るため四苦八苦をしていた震災直後の一週間に命の救済ためのドラマがあった。個人が横につながり、被災地が抱える課題を自発的に解決してきた取り組みこそが民間非営利組織の原点であったが、そうした被災地のニーズに見合った課題を解決するためにNPOが十分機能したのか」と問題提起しました。
この二氏との議論では、救済期における公平性と時間との問題、国や行政が障害となる中で民間の役割、さらにはNPOの取り組みの評価について議論が進み、この中で上氏は「行政はその公平性、平等性の性格が故にどうしてもこのような災害時には起動が遅い。そうであれば逆に市民が率先して自分たちで出来ることから貢献するべきだと思った」と伝え、また梅村氏も「官は震災対応においても前例にこだわる傾向があり、今後につなげるためにも、民がその刷新性や機動力で突破し、成功例を作るしかない」と発言しました。
(※この工藤と二氏との議論は,後日、言論NPOのウェブサイトで全文を公開する予定です。)
またフォーラムの後半に行われたパネルディスカッション「東日本大震災における市民活動の成果と課題」では、工藤はコメンティターとして参加しました。
この中で工藤は「NPOが、何か役に立ちたいという市民の受け皿として役割を果たすことができたのか、そして被災地が抱える問題で課題解決ができたのか、この2点について私たちは半年経った今、冷静に考える必要がある」と問題提起を行い、また、非営利組織と行政との関係についての議論では、「被災地が復興する過程で行政だけが頑張る状況ではいつか限界が出てくるだろう。市民が地域をどのように復興させるのか自分で考え自発的な動きを作らない限り、東北が本当の意味で復興する流れを作り出すことはできない」と語りました。
このセッションには被災地で支援活動を行っている、いわて連携復興センター代表理事の鹿野順一氏、宮城県のNPO中間支援組織である杜の伝言板ゆるるの代表理事の大久保朝江氏、福島県内の避難住民の現状について調査を行った福島大学教授の今井照氏らNPO関係者・学者の5氏がパネラーとして出席し、約100人のNPO関係者が参加しました。
今回のフォーラムは日本NPO学会が東日本大震災後の被災地の生活再編に向けた市民社会の活動の経緯を調査・研究、議論形成をすることによって、中長期の視点から捉え社会に発信することを目的に実施されたものです。