2010年4月12日都内にて「エクセレントNPO」評価基準発表記者会見、「強く豊かな市民社会を考える対話集会」を行いました。
エクセレントNPOとその評価基準
NPOセクターの現状と課題【データ編】
NPOセクターの現状と課題【要旨】
今後の活動について
賛同者リスト
検討会メンバーリスト
政府税調PTで発表された中間報告書に関する意見
「エクセレントNPO」評価基準発表 記者会見 報告
記者会見には、非営利組織評価基準検討会のメンバーである田中弥生氏(大学評価・学位授与機構準教授)、片山信彦氏(ワールド・ビジョン・ジャパン常務理事・事務局長)、堀江良彰氏(難民を助ける会事務局長)、多田千尋氏(東京おもちゃ美術館館長、日本グッド・トイ委員会代表)、加藤志保氏(チャイルドライン支援センター事務局長)、関尚士氏(シャンティ国際ボランティア会事務局長)、武田晴人氏(東京大学大学院経済学研究科教授)、山内直人氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)、工藤泰志の計9名が出席しました。
はじめに工藤が、検討会の目的や今回「エクセレントNPO」の評価基準を提示するにいたった経緯を説明しました。工藤は、「NPO法制定後、NPOはその数を急増させてきた一方で本来の目的を果たせていない」という問題意識のもとに本検討会が発足し、NPOの質の向上を目指すため、「エクセレントNPO」を提起するにいたったことを説明しました。そのうえで、「エクセレントNPO」の定義や評価基準の体系を簡単に説明していきました。
つづいて、本検討会の主査である田中氏が、NPOセクターの現状と課題について説明しました。その中で田中氏は、全国のNPOの財務データベースをもとに「63%が500万円未満の収入規模である」、「事業収入ばかりに依存している」、「過半数が寄付をまったく集めていない」といった日本のNPOの現状を指摘しました。そして田中氏は、そのようなNPOの課題として「行政の下請け化」が起きていること、社会的信用が低いことのほか、単一の事業収入への依存と財務的持続性に負の相関関係が存在していることを挙げました。
それを踏まえ、検討会が策定した「『エクセレントNPO』の評価基準」の内容について田中氏による簡単な説明が行われました。田中氏は、基本条件の1つ「社会変革」の構成要素である「課題認識」において、課題の背後に存在する原因までしっかりと認識する必要があることや、「課題解決」においてアウトカムレベルでの成果を目指すことを強調しました。また、「市民性」という基本条件においては、ボランティアや寄付を、活動の単なるリソースと捉えることが強く戒められるとともに、「組織安定性」という基本条件では、規律をもった資金調達を行うことの重要性が指摘されました。
次に、今後、エクセレントNPOを目指す動きを大きくしていくための活動について、片山氏から「基準の徹底・普及」や「自己診断ツールの作成・公表」を行っていくことが報告されました。また片山氏は、現在の評価基準を不断に見直していくことや、NPO同士のネットワークを構築していくことなどにも言及したうえで、「公的機関に頼らずにNPO自身で動きをつくりたい」との抱負を述べました。
その後、会場との間で行われた質疑応答では、「今回の動きによって公共サービスの受け皿が増えることや、市民の参加が増えることはあるのか」などの質問が提起されました。これに対し片山氏は評価基準について、「市民が安心してNPOに参加するための基準となる」と述べ、それにより市民参加は増えるとの見通しを示しました。また、堀江氏も「行政の下請けではなく、市民が信頼できる公共サービスの受け皿を増やしていきたい」と語りました。
最後に工藤が「エクセレントNPO」を軸にした良循環を作り出すとの覚悟を述べ、本日の記者会見を締めくくりました。
記者会見に引き続いて行われた、「『強く豊かな市民社会を考える』対話集会」の模様はこちらから。
文責:インターン 河野智彦(東京大学)