4月12日、非営利組織評価基準検討会の会合が開かれ、政府税調PTで発表された中間報告書に関する意見などについて、議論が交わされました。
会合には、片山信彦氏(ワールドビジョンジャパン常務理事・事務局長)、加藤志保氏(チャイルドライン支援センター事務局長)、関尚士氏(シャンティ国際ボランティア会事務局長)、多田千尋氏(東京おもちゃ美術館館長、日本グッド・トイ委員会代表)、堀江良彰氏(難民を助ける会事務局長)、武田晴人氏(東京大学大学院経済学研究科教授)、山内直人氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)、田中弥生氏(大学評価・学位授与機構准教授、本検討会主査)、の各氏と、工藤泰志(言論NPO代表)が参加しました。
今回の会合は、同日の記者会見、および対話集会に先立つ形で行われました。議題としては、記者会見で発表する「エクセレントNPO」の基準についての最終的な確認のほか、今後市民社会に「良循環」を起こしていくため、どのような活動が求められるか、といった点が取り上げられました。
また、4月8日に政府税調に提出された、市民公益税制PT中間報告書について、どのように考えるべきか、という点についても活発な議論が行われました。その中では、所得税への税額控除導入という方向性が明示されたこと自体については、市民の寄付行為を促すものとして肯定的な評価がなされたものの、一方で全体的な制度設計については懸念が多く表明されました。具体的には、パブリック・サポート・テスト(PST)に地方団体の判断を尊重した仕組みを盛り込むなど、市民による公益性の判断という本来の思想からの乖離が見られる点、仮認定制度の導入に言及し、認定の間口を大きく広げようとしているにも関わらず、事後チェック体制が不透明である点などが指摘されました。合わせて、脱税など制度の悪用を促し、NPOセクターの質の悪化を招く恐れについても取り上げられました。
また、中間報告書に示されたような寄付税制の大幅な拡充が実現すれば、寄付対象の判断は寄付者側に大きく委ねられることとなります。これは即ち、NPO側の質の向上に向けた自助努力が一層求められるということであり、その中で「エクセレントNPO」の基準が果たすべき役割は一層大きくなるのではないか、との考えが示されました。
これらの論点は、「市民公益税制PT中間報告書に関する意見」としてまとめられ、同日行われた「エクセレントNPO」評価基準の記者会見において発表されました。
文責:インターン 楠本純(東京大学)