「市民社会フォーラム」報告

2009年7月16日


「市民社会フォーラム」報告 / ゲストスピーカー:増田寛也氏(前総務大臣)

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 5月20日、第2回目となる「市民社会フォーラム」が開催され、前総務大臣である増田寛也氏が、地方分権の展開と市民社会の設計という二つの軸から「地方自治と市民社会」について講演しました。  


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 増田氏はまず地方分権は「手段であって目的ではない」ことを強調し、分権が目指す社会では、自治体や住民は権利だけではなく責任も同時に背負うことになるということを自覚すべきと指摘しました。その上で適切な地方分権を進めるためには地方の議会制度改革が特に必要だとし、そのためにも、行政権だけではなく立法権の分権も重要であるとしました。

 さらに増田氏は市町村合併の推進にも言及し、合併はもはや運動論ではなく、結果を検証し今ある自治体の数で何をどう行っていけるかを考える段階に来ていると述べました。

 増田氏はこうした分権を、市民社会という横軸で捉えると、そこには「公共を担う民」という自分の利害を超えて、公共の利益の最大化を図る多元的な主体が必要であり、NPOはそうした担い手としての大きな可能性を持っている、と述べました。分権後の社会に問われるキーワードは、「集約とネットワーク」であると増田氏は主張し、実際の生活の場を起点に行政区域を越えていく新しいコミュニティの視点が、今後の多元社会に求められているとしました。


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 その後、会場の出席者からは、「地方自治体は本当に地方の分権を求めているのか」「分権の前に自治体に残る第三セクターなどの負の精算はどうするのか」など幅広い質問が出されましたが、増田氏はそれらに全て答えると同時に、「力の源泉は国民や住民にある」と述べ、選挙だけではない主体的な住民参加・住民自治こそが重要であり、全ては対価を求めずに自ら考え行動する市民ひとりひとりの意識改革にかかってくると語りました。


 言論NPOでは2009年、日本の市民社会をどう考えるかについて継続的に議論を行っていくことになりました。このフォーラムは今後も月に約1回のペースで開催していきます。その他にも政治家や有識者、NPO関係者などへのインタビューや座談会を行い、議論の内容は言論NPOのホームページ上やブックレットで公表していく予定です。(詳しい議事録は後日、会員限定で公開します)


文責:インターン 河野智彦(東京大学)

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